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Tatsuya
辰「翔太ぁ……」
翔「んっ、、にぃ、、、」
辰「うん、兄ちゃんここにいるから。大丈夫だからね。」
そっと寄り添った翔太はもう殆ど意識がなくて、
それでも俺達が声をかけるとほんの少し薄目を開けて、出来る限り言葉を紡ごうとしてくれる。
ほんとにほんとに、頑張り続けてくれてたんだ。
康「しょった君?お熱なん??」
辰「うん。翔太ちょっと熱出て痛いから、康二ぎゅーして元気あげて。」
康「うん!しょった君元気なってな!」
まだそこまで意味の分かっていない康二の無邪気なお願いが何だか俺の方に刺さって、又視界が歪む。
帰ってきてからずっと仲良しだった二人、一杯一杯家に響く声で笑って、
体調悪い時も康二は一杯一杯翔太にぎゅーしてくれたね。
大「ほら、蓮も。翔太のお手々ぎゅーして。」
蓮「うん!蓮しょーにぃに大好きぃ!!!」
蓮なんて多分本当に何にも知らないままだろうし、大きくなったらもう翔太のこと覚えてないかもしれない歳。
だけど大好きだったにぃにのことだから、笑顔で手繋いで又サッカーしようねって。
皆で公園行って翔太ベンチ座って足だけ蓮に貸しただけだったけど、蓮は本当に楽しかったのかな。
辰「二人ともさ、翔太にありがとうしよ。」
元気一杯のありがとうをしてくれた二人。
もう翔太の目は開かなくなっていたけれど、
ちゃんときっと届いたはず。
涼「翔太っ……」
手握って片割れが呼んだ声。
返事は返って来なかったけど、でも上から包んだ二人の手はまだ暖かい。
色んな思いが涼太にもあったのに、嘘ついてごめんね。
だけど二人とちび達に怖い思いをさせたくなかったから。
大「翔太偉いよ、ほんとに。強いね、頑張ったね。」
最期まで笑顔で声かけようとした大介だって鼻啜って、涼太はもう泣いてるしちび達も悲しそうな顔。
翔太の前では泣きたく無かったけど、もう俺もぼろぼろで顔ぐっちゃぐちゃ。
それでもゆっくりゆっくり呼吸の間隔が広く浅くなっていく翔太の胸を擦って頭を撫でて、
辰「大丈夫、翔太もう大丈夫だよ。皆ここいるからね。」
ずっとずっと五人で翔太のベッドに一緒にいた。
何度も何度も奇跡を起こして闘い切った弟がいたこと、
最期に家で過ごせたこと。
翔太が生きたことを、ずっと忘れずにいる為に。
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作者名:りる | 作成日時:2022年11月27日 21時