心はずっと盗まれ続ける (ルパン) メガネ隊長様リク ページ10
「不二子ちゃ―ん」
「もう、ルパン!」
二人の熱烈な声が、私の耳の中に侵入してくる。
うっとうしい、と耳をふさいでも小さな隙間から泥棒のように入ってくる。
嫉妬してるんだ、とすぐに気がついた。
私はギュッと目をつぶった。
一年ほど前から、私とルパンは付き合っている。
後悔はしていない。
だって、ルパンはとても優しくしてくれるから。
でも、他の人に向かってデレデレしているのを見ると、やりきれない気持ちになる。
特に最近は、私より不二子といるときの方が多い気がする。
私は立ち上がると二人の前を通り、出来るだけ明るく言った。
「外に行ってくるね!」
──ちゃんとそう見えたかな。
夜の公園は、誰もいなくて暗い。
私はその、冷たいベンチに座った。
雪が降っていて、寒い。
初雪かな。
今年に入って初めて見た。
昔は、雪が降ると嬉しくてはしゃいでたっけ。
その隣にはいつもルパンがいて……。
私は頭を振った。
今は思い出したくない。
はぁ……と口から出てきたため息は、一瞬にして白くなる。
もう少し、厚着してくれば良かったかな、と思った時、
「そんなんじゃあ、風邪ひくぜ」
パサリ、と何かが頭の上に乗った。
赤い、赤いジャケット。
私はそれをギュウッとつかんだ。
誰の物か、なんて見なくても分かる。
私は後ろを振り返った。
「ルパン……っ!」
その姿に、涙が浮かんでしまう。
「A、悪かった」
抱きしめられる。
きっと、IQ300の頭には分かっているんだろう。
私がなんで、ここにいるのかも。
なぜ泣いているのかも。
「うぐっ……ひっ…」
さみしかった。嫌だった。苦しかった。
そう訴えたいのに、出てくるのは嗚咽(おえつ)だけで。
ルパンはそんな私の頭を、背中を、落ち着くまでなでてくれた。
やがて、ルパンは一歩下がると片膝をついた。
その手の中には何かが握られている。
「不二子には、これの事を相談してたんだ」
私は、グイッと涙をぬぐった。
視界が開け、良く見えるようになる。
手に持っているのは、箱のようだった。
ルパンは目の前でそれを開ける。
「もう一度、俺に盗まれてやってはくれねぇかなぁ?」
きれいな、きれいな指輪が一つ、その中に入っていた。
嬉しさで、胸がいっぱいになる。
また泣きそうになるのを抑えて私は言った。
「……ばか。
私はずっと、ルパンのモノだよ」
___________
リク、ありがとうございました!
花火よりもずっと (五ェ門) ♪ストレート♪様リク→←握って (五ェ門) 夏輝@カナリア様リク
117人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆーたそ(プロフ) - すっごいカッコイイです!ルパンもう少し増えて欲しい! (2018年12月3日 23時) (レス) id: 7df32a732a (このIDを非表示/違反報告)
礼 - 惚れたぜルパン様ァ〜 (2015年4月6日 15時) (レス) id: 24bc0e2a7c (このIDを非表示/違反報告)
☆ghost dance☆ - 気になったんですが、銭形警部の形の字が違うのでは……? (2015年2月3日 15時) (レス) id: edcaa948c8 (このIDを非表示/違反報告)
LongMine(プロフ) - 次元さんがヤバいよ// (2015年2月2日 16時) (レス) id: d84f8ae247 (このIDを非表示/違反報告)
揺楽 - 五エ門格好いいです!リクエストで、五エ門と花見へ行く話を見たいです。 (2015年1月31日 12時) (レス) id: 2bcd23b539 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ