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握って  (五ェ門)   夏輝@カナリア様リク ページ9

昼前の商店街は、多くの人でにぎわっている。

気をつけていないと、すぐにはぐれてしまいそうだ。


そんな状態を、五ェ門は嬉しく思っていた。

隣でAがずっと手を握っているからだ。


前から後ろへと、店が通りすぎていく。


急に、Aが立ち止まった。

何事かと思い、五ェ門は辺りを見回すが、特に危険そうなものはない。


見れば、Aの口には笑みが浮かんでおり、目をキラキラと一点に集中させていた。


「五ェ門、私、あれ食べたい!」


と、少しはしゃぎ気味にAは五ェ門に話しかける。

Aが指さしたのはパン屋の露店だ。

昼前と言うこともあって、焼きたてのパンが並んでいる。


パンの焼けた香ばしい香りが、Aの鼻を刺激していた。


「パン、でござるか?」

「うん。あれ、あの蜂蜜がかかってるやつ」


早く早く、と言うように手をひっぱる。

仕方がない、と五ェ門がそれを買うと、Aは満面の笑みをたたえてパンにかぶりついた。


幸せそうな姿に五ェ門は、ついつい笑みを浮かべてしまう。


「道を歩いている奴に、ぶつけるでないぞ」

「子供扱いしないでよ」


Aは少しすねた表情になる。


「そんな年じゃないんだから」

「口の周りをべたべたにしながら蜂蜜パンにかぶりついている姿は、どう見たとて子供であろう」

「……」


突然黙りこんだので怒ったか、と思ってしまったが、そんなことはなかったらしい。


「可愛い?」


小首をかしげ、上目遣いに五ェ門を見てそんなことを言う。


五ェ門はうろたえたのが分からないように、そっぽを向いた。

Aが、くつくつと笑う。


そして、手に持っているパンを少しちぎると五ェ門に差し出した。


「はい。あげる」


そのまま、パンを五ェ門の口の中に押し込む。


「照れてくれたお礼」


そう言って、五ェ門の顔を見るとまた笑った。

五ェ門は耳まですっかり赤くなっている。


Aは自分の手の中にある残りのパンを、口の中に入れた。

五ェ門の手を握り、引っ張る。


「さ、行こう」

「うむ」


まだまだ、商店街のにぎわいは勢いを増しそうだった。


_________________
リク、ありがとうございました!
……遅くなってすみません。

心はずっと盗まれ続ける  (ルパン)  メガネ隊長様リク→←手の届く距離  (シオン)  マリ様リク



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設定タグ:ルパン三世 , 短編集   
作品ジャンル:アニメ
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ゆーたそ(プロフ) - すっごいカッコイイです!ルパンもう少し増えて欲しい! (2018年12月3日 23時) (レス) id: 7df32a732a (このIDを非表示/違反報告)
- 惚れたぜルパン様ァ〜 (2015年4月6日 15時) (レス) id: 24bc0e2a7c (このIDを非表示/違反報告)
☆ghost dance☆ - 気になったんですが、銭形警部の形の字が違うのでは……? (2015年2月3日 15時) (レス) id: edcaa948c8 (このIDを非表示/違反報告)
LongMine(プロフ) - 次元さんがヤバいよ// (2015年2月2日 16時) (レス) id: d84f8ae247 (このIDを非表示/違反報告)
揺楽 - 五エ門格好いいです!リクエストで、五エ門と花見へ行く話を見たいです。 (2015年1月31日 12時) (レス) id: 2bcd23b539 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うろ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2013年10月25日 10時

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