其の料理人は唐突に 拾伍【食戟のソーマ】

郁「371話目だ！」 ページ6

大行列を並んだ端からみるみる内に溶かしていく2人。


Aと、そのスピードと全く同じ勢いで作り上げる美作。





「信じられん…まるで…幸平Aがもう1人いるようだ…！」




「やー…加勢助かるわ！しかしあんたがあんなあっさりOKしてくれるなんてね」


「お前には…でかい借りがあるからなァ」

美作は、聞こえるか聞こえないか位の声で話した。


「ん？何？」

どうやらAには、聞こえていなかったようだ。


「何でもねェ…無駄話してる場合じゃねェぞ」






「客は今からもっと増えるぜ！」







─恵ん…よろしくね！

─うん！



2人のアイコンタクト。

ついに恵も本格的に動きを見せる。




「こちらのベンチをどうぞ！足元お気をつけ下さい」

「あの、よろしかったらスプーン御利用になりますか？」



─スタジエールで学んだ事…全部活かすんだ！






3人で順風満帆に店を回していく。するといつの間にか暗くなり始める時間帯になっていた。

「そろそろ来る頃かなぁ……」


恵の小さな呟き。


「田所くん！待たせた！」


噂をすれば何とやら。待っていた人の声が聞こえてきた。



「主将！」



恵の所属している郷土料理研究会のメンバーである。


「さぁ…一気に設置するぞ！郷土料理研究会自慢のコレクション…全国津々浦々の提灯を！」




恵は前日、Aの依頼を郷土料理研究会に伝え、用意をお願いしていたのだ。




提灯も飾り、賑やかな店になってきた。
…しかし、客数は増えて増えて増える。


3人だけで店を回すのは大分限界に来ていた。




「へいへいへいどうした大丈夫ぅAちん？じわじわ追っつかなくなってきてるじゃん？」


久我の煽りに言い返す余裕もないA。


「ここでペース落としたら中華研に一気に差をつけられるぞ！」



「…今のままじゃ恵んの負担が大きすぎる…！美作！一瞬、任せた！」



厨房を抜け、恵の方へ向かおうとしたA。



「ばっきゃろー！Aがコンロから離れたら勝てるもんも勝てねぇだろ！」



そんなAに新たな助っ人が登場。



「恵は接客に専念しな。胡椒餅は……あたしが焼く!!」





「にくみ!!!」




「こっからが正念場なんだろ？A」

「……有難う！」









「胡椒餅の焼き加減…火入れのポイント…目を瞑ってたって完璧にこなせるぜ！安心してあたしに任しときな!!」

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