其の料理人は唐突に 拾伍【食戟のソーマ】

え「391話目よ」 ページ26

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その頃。薊は壇上に立っていた。

辺りには、沢山のカメラが。




「お集まり頂き有難うございます。遠月十傑の総意を受け、新総帥の役に任命されました」

「薙切薊であります」



「先代である仙左衛門殿が学園に齎した功績はあまりにも大きく、その後継者として責務を果たせるか…重圧を感じている事は否定できません。しかし」






「日本の食文化を牽引する大役だと理解しています。謹んで引き受け、遠月を更に飛躍させる所存です！」



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えりなの模擬店に居た頃とは別人のような、爽やかな挨拶をした薊。

それに対して、模擬店の客だったOB達はどこか不満げな様子だ。


「あの日ワシらの前では本性現しおったくせに！」

「彼の暴言を、あの模擬店にいた全員が耳にしてるんだ。あんなボロを出しておいて今更猫を被ろうとは…何を考えている？」









「ボロを出したとすら思ってないのかも……」


「彼は猫を被る気なんて抑ない…あの夜も…そして今日も…本心で行動しているだけなのでは」





「……それは」



「何があろうと自分の思い通りになる事を少しも疑っていないから……？」


薊の行動には、謎が増えるばかりだった。


そして、今後もその暴走が止まる事は、このままでは恐らく無いだろう。




そんな彼の真の思惑を、まだ誰も知らない──


―――


私は、あの時震えていた薙切んを思い出す。



「…平和なのは今だけかもしれないね」

残念だけど、ふみ緒さんと同じ考えだ。


「今まで分散していた権力が同じ方向へ一気に舵を取った…つまりそれに逆らえば、遠月の敵として見なされるということ…」



イコールそれは、





「'遠月十傑が敵になる'って事…ですよね？ふみ緒さん」


「そういう事だよ。冴えてるね」







確か…新総帥の名前は薙切薊…だっけ。遠スポで見た。



新総帥がどんな人物かは詳しくは知らないけど、きっと薊王権は絶対王政。

あの時の行動を見ていれば何となくわかる。十傑評議会に根回しをする位だもん。




自分の思い描く理想を叶える為なら、手段を選ばない……



これが、私の立てた薙切薊の人物予想。







この王権に逆らった人達が'反逆者'とされて退学……みたいな事態にならなきゃいいんだけど……。






この先が、少しだけ不安だ。

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