其の料理人は唐突に 拾伍【食戟のソーマ】

司「382話目だよ、幸平」 ページ17

そういえば、最近食べた料理人の顔が見える品と言ったら、久我先輩の四川料理だ。

彼の信念が、舌を、体を通して伝わってくる……そんな品だった。





……って！久我先輩の事思い出したら何だかまた恥ずかしくなってきた…!!





ごほん。





勿論、自分を直接主張する事は大切だ。でも、それだけが、己を表現する事に繋がるわけじゃない。



その事に気が付かされた瞬間だった。






「ところで幸平…」


司先輩からの閑話休題。








「さっきからずっと…やけに顔が赤いけど、何かあったの？」


「へ!!?」


な、何で司先輩までそこを突いてくんのかなぁ…
そんなに極端に赤くなってるの？私の顔は。



「ゴホン……え、何の事ですか？特に何も無いですよ…」





「本当に？」

「本当ですよ」

「本当の本当に？」

「本当の本当ですよ」






「幸平にしては何だか珍しいと思ったからさ。もしかして……」


















「──'久我と'何かあったのかな……って思って」







私の心臓が、有り得ないほど速く脈打つ。一瞬でも気を抜いたらボロが出そうだ。




更に顔に熱が集中するのが分かった。
熱よ、冷めろ〜…






……てかどうしてここで久我先輩の名前を出したんだ？



何で'知ってるかのように'話すんだろう───








…まぁいっか。





「……」

「……」





暫くの無言。
司先輩の、疑う様な目線が刺さる。


何故に私はこの人にこんなにも迫られてんだ…？

別に司先輩には久我先輩と私の事なんて、関係無いのに…






逸らしていた目線を合わせてみると、司先輩はいつもの気弱そうな雰囲気なんて見せていなかった。









…あの事は人にベラベラと話す内容じゃない。




しかも、無関係の人には尚更だ。


こういうのはきっと、2人だけの秘密にしておくべきだと思うんだよね、私。


だから私はうまく回避する事を選ぶ。


「つ…司先輩が何でこんな事わざわざ聞くのかよく分からないんですけど、マジで何も無いですよ…！」




「そっか……なら良いんだけど…」


「……？」




良いってどういうこっちゃ。


…本当に可笑しな司先輩。皆して今日はどうしちゃったんだろうね。





































「何てね……──幸平の嘘ツキ」


―――

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