trouble.5 怠重い。 ページ7
朝が来た。
自分にとって最期になるかも知れないーーー
朝が来た。
未だ怠重い身体を起こすと、林檎が擦り寄って来る。顔が緩むから辞めて呉れ…可愛いから。
「……朝風呂しよ」
そう。起きると、服が濡れて居た。決してお漏らしではない、寝汗だ。
何時も何か自分に悪い事が起きる日や、自分にとって不利益になる事が起きる日にびっしょりと汗をかく。
我ながら、悪い癖であると思う。
シャワーを浴び、鏡を見る。
側から見たら端正な顔立ち…と云われる様だが、当の本人は
「…クッソ…整形しよかな、」
と云うレベルな程顔が嫌いである。まあ、其処まで自分の顔立ちを嫌悪して居るのは、或る事情が有るのだがーーまあ其れはまた別のお話。
鏡の中の自分と目が合う。
目線を首辺り迄移すと、先日仕事で斬られた跡が胸の辺りに残り、痛々しく体に刻み込んでいた。
其れだけではない。
腕、首、腹部…様々なところに仕事中に付いた傷が身体に馴染むように刻まれていた。
それも他人が見ると、卒倒しそうな程の量が。
湯船に浸かり、ゆっくりと時を噛みしめる。
…嗚呼、段々逆上せて来た。
風呂…脱衣室を後にし、自分は重大なことに気づいた。
『若しかして…自分が消えたら、林檎は独りぼっちになって仕舞うんじゃ…』
林檎を可愛がって来た身には、其れは余りにも辛すぎる。
此ればかりは仕方ない、元飼い主の笹森ん家に行って預けるか。
ポケットの中に全財産を入れた財布を入れ、愛車の助手席に林檎を乗せ、家の鍵を閉める。
自分も運転席に乗り込み、車を起動させる。
矢っ張り車は最高やーっ、と思いつつ、
未だ17歳で未成年の蓮は御構い無しに公道に車を走らせた。
trouble.6 メイドさん(仮)。→←trouble.4 予兆。
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梓(プロフ) - ルルナナさん» ありがとうございます!!これからも面白くしていけるよう精進して参ります! (2019年7月21日 17時) (レス) id: 73b249ebe7 (このIDを非表示/違反報告)
ルルナナ(プロフ) - とっても面白いです!応援してます! (2019年7月21日 9時) (レス) id: f75b5a5c4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梓 x他1人 | 作成日時:2019年1月21日 0時