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trouble.32 同情。 ページ34

「…敦クンより、ひとつ下ですよ」


何度考えても分からなかったようなので、大人しく回答をする。
真逆年下とは思ってはいなかったのだろう、驚きを隠せていなくえぇーっ!と叫ぶ敦クンを横目に少し心の中でほくそ笑んだ。


「…五月蝿いぞ、敦」


驚くのは分かるが、と付け加えながら此方に向かって来る国木田サン。注意すると直ぐ静かになった敦クンを見るに、国木田サンは此の武装探偵社のストッパー役も請け負っているのだろう。

太宰サンのパートナーに加えて。


「…大変ですね、国木田サンも」


「嗚呼、本当にな」


少しの同情の気持ちが伝わればな、と思い自分の為に用意されたであろう少々緩くなってしまったミルクも何も入っていない苦そうな珈琲を手渡す。

感謝の意を述べた国木田サンは近くの椅子に座り、ゆっくりと其れを飲む。

何時もの鋭い目は無く、窶れていた。
まるで子供の世話に疲れ切ったお母さん…いや、お婆さんの様に。

ふと背後から来る気配に気付く。

振り向くと、細身の女性と和服を身に纏った少女が二人並んでいた。
未だ紹介されていない探偵社の人だろうか、と視線を投げかけた。


「やァ、新人君。アタシは与謝野晶子だ」


またまた聞き覚えのある名前を名乗った女性が自己紹介をする。
特徴的なボブに着けられた美しい金色の蝶のアクセサリーは、彼女のセンスを表していた。


「世話になります、与謝野センセイ」


「…アタシは未だ、医者と名乗っていないよ」


そうでしたっけ?と、隠す様に恍けるとこりゃあ勝てないね、と妖艶に笑い奥へ戻って行った。

与謝野センセイの後ろ姿は何だか格好が良いな、とボーっとしているとちょいちょい、と服の裾を引っ張られた。
此の行為に少し可愛いと思ってしまったのは不可効力だろう。仕方ない。


「…私の名前は泉鏡花。此れから、宜しく」


泉鏡花、と云うと、確か男だったような…と記憶を探ろうとしたが、目の前に当の本人がいるのだから止めておこうと思い何時もはしない優しげな笑みを浮かべた。


「宜しく、鏡花サン…いや、鏡花」

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , トリップ , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - ルルナナさん» ありがとうございます!!これからも面白くしていけるよう精進して参ります! (2019年7月21日 17時) (レス) id: 73b249ebe7 (このIDを非表示/違反報告)
ルルナナ(プロフ) - とっても面白いです!応援してます! (2019年7月21日 9時) (レス) id: f75b5a5c4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: x他1人 | 作成日時:2019年1月21日 0時

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