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伊藤と三橋、2人の言い争いからとんでもない事になってしまったのは言わずともわかるだろう。
街中へ出てきた俺たち4人は駅前の広場に佇んでいた。その訳とは
「よし伊藤、対戦相手はどいつだ。はよ選べよ」
「そーね」
十分あの特訓で強くなったと言い張る三橋とあれでは無理だと反論する伊藤くん。
両者がケリをつける方法として選んだのは、和夫くんが伊藤くんの選んだ相手に勝てるかどうかというものだった。
当の本人である和夫くんは既に泣いて辞めてくれと視線で伝えるがあの伊藤くんでさえも無視していた。
三橋を先生という立場から引き摺り下ろすにはどうしても和夫くんに負けてもらわなければいけないからだろう。
「そーね、あの柱ントコいる刈り上げなんてどうよ」
「兄ひゃん…！？そんなー！」
はひはひと空気を吐き出す和夫くんをちらりとみた伊藤くんはすこし気まずそうにしていた。
「あんな弱ソーな奴かヨ。ブチのめして来い、弟子よ」
頭を鷲掴みながら得意げに語る三橋は本気で勝てると思っているようだ。無理だと思うよ
「もうちっと弱そーな奴にしてやろうよ、初めてだよ？」
「案ずることはない、雑魚なら倒せるくらいには強くなってる」
さっさと行けと和夫くんの背を押す
すると和夫くんは押した三橋の方へ向き、無理だ勝てないやめてください三橋様と泣きついた。本当は、あんなもんで強くなるわけねーだろ！って言いたいんだろう。目に書いてある
「どうかお願いします〜〜！！」
三橋は鬼だった。
牙を剥き自分よりも随分と小さい和夫くんを吊り上がった鋭い目で射抜き、見下ろしていた。
ぞっとするような光景だった。
「Aさん…」
「和夫くん受け身だ、何かやられても受け身さえ取れば最小限の負傷で済む」
「そんなぁ〜！」
痺れを切らした伊藤くんが俺が声かけてくるから、と刈り上げの元へ走って行きこちらを指差し何かを言っている。正確には和夫くんを指差して、だが
手招きされた和夫くんはもう生きることを諦めた、この世の中を恨んでやるといった表情を浮かべながら刈り上げに近づきパンチを繰り出した。
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作成日時：2019年10月4日 23時
