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「最後に一つ、男が泣いて良い時は限られているということだ」

「そーだ、三回だけなら泣いて良い。蜂に刺された時と金を落とした時、犬の糞を踏んだ時だけじゃ」

「テメーは黙ってろ!」

手持ち無沙汰な三橋は泣き止みかけていた和夫くんの頬をグリグリと弄り遊び始める
だーめだこりゃ

「ま、泣いても良いけど人前で泣くのはやめた方がいいな。弱みだと思ってつけ込んでくるやつがいるからな、コイツみたいなの」

三橋を指差し言うと怒って手に噛み付いてきた
ギザギザの歯でガジガジと噛まれてしまい思わず殴る。いってー!

「と、とにかく!男は泣いたらいかん」

そう言うと顔をキリッとさせて和夫くんをみた
しばらくの沈黙

「だからなんだよ、そんなこと言っただけで直んのかヨ。もっと具体的に言えよ!人に教える才能ねーのはテメーじゃねぇかバーカ!!」

伊藤くんは落ち込み隅へ寄って地面へ語りかけ始めていた。少し放置しておこう

「全くアタマの悪いやつヨ、A玉ねぎ」

「持ってねーよ」

「そこにコンビニあんだろ」

ニコ39、全国チェーン店で品揃えは確かに豊富
何故俺が…なんて思いつつも気がつけばレジで金を支払った後だった。
購入した真新しい玉ねぎ一玉を渡すと和夫くんに剥かせ始める

「こーして玉ねぎの皮を剥くことで涙を出しきるのじゃ」

「なるほどー」

「馬鹿しかいねーのか?」

真剣に感心している伊藤くんはそれでいいのか
号泣しながら玉ねぎを剥く和夫くんは何故こんなことになっているのかと虚空を見ながら剥いている。
暫く剥いていると鼻水は出るが涙は出なくなったようで、それをみた2人が嬉しそうに笑った

「どーやら出しきったよーだなっ」

「そーね」

三橋は和夫くんを押した
伊藤くんとゴッツンと頭を打った和夫くんは泣いた
何故か伊藤くんはピンピンしていた

「ホラ見てみろ、まだ泣くじゃねーか。全く役に立たないこと教えやがって!こいつは俺が面倒見るぜ」

「言い出したのはお前だ三橋」

「玉ねぎを買ったのはAだ」

「買わせたのはお前だ…」

泣いている和夫くんの肩へ腕を回し、顔を寄せヒソヒソと話し出した。
俺を師として仰げなんて物騒なことを言っているのは聞こえるが他は聞こえない。どうやら本当に1人で教えたいらしい

「和夫大丈夫かな」

多分大丈夫じゃないです

「Aー塩!」

「自分で持てよ」

持たされていた鞄を漁り塩を渡す
すると徐に掌はそれを出して

「?」

「こうじゃ」

「ヴッギァーーー!」

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作成日時:2019年10月4日 23時

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