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「オイ!A」
横っ腹に走る痛みで目が覚めた
容赦無く蹴ってきやがるその足を掴んで止めると、振り払われる
そんでまた蹴ってくる
「…痛いんデスけど」
「早く起きねぇのが悪いんだヨ!もう放課後だぜ」
「うっそだろ?!」
「ホントホント」
寝坊助ちゃんね、と言い鞄を俺へ投げて出ていった
…俺を起こすためだけに来てくれたのか
気がきく奴だ
「……あれ」
持ち上げると登校した時よりも随分と軽い鞄
嫌な予感がした俺は鞄を開け素早く中身を確認する
教科書と筆記具…
「…財布がない!!」
あンのションベン頭…!!!
優しい所もあるなとちこっとばかし感心していればこれだ
ひと時も油断できん奴め!
急いで屋上から飛び出し後を追うが、校舎内にはもう既にいなかった
学校出ちまってたら何処にいるか検討もつかねぇ…!
「…クソッ」
舌打ちをするとすれ違う生徒が怯えてしまった。お前に対してじゃねぇから安心しろよ
あ〜あ、学校にいないなら無理だな…諦めよ
軽くなった鞄を持ちトボトボと歩いて帰る
心なしか風が冷たく感じる
「はぁ…俺ってば世界一不幸だ……ん?」
テキトーに歩いていたせいで全然知らないところまで来てしまったようだ
やば、此処どこだ
キョロキョロしていると肩を突かれたので振り返ると…
(…ゲゲッ!昨日のヤベーところ)
灰色の制服に身を包んだ集団がそこには立っていた
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作成日時:2019年9月7日 1時