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19. ページ24

「ほら、ご所望のパンだぞ」

「パム〜!」

今日の分として購買のパンを数個見繕ったものを渡す。
どうやら朝から屋上にいたようで、それはそれは可哀想なくらいお腹を空かせていた。見つけた時には倒れて食料を求め這いずっていたくらいだ。

そこまでなるなら早弁しろよ

「それで今日は終いだからな?」

「うむっご苦労であった…」

王様気分で下がれと命じてくるので素直に従って、黙々と弁当を食べている伊藤くんの横に腰掛ける。

「なぁ」

「ん?」

「アイツなんで屋上にずっと居たワケ?いつもこうなん?」

「いや何時もは教室で早弁して寝てたり早弁したり…してるかな」

「食って寝ることしかしてねぇな」

「まぁそうだね」

苦笑する伊藤くん
チラッと見えたお弁当はとても可愛らしいハートマークがあしらってあった。
彼女がいるらしいことは噂で聞いていたが、弁当を見てデレデレしているところを見ると相当惚れ込んでいるようだ。

大事そうに食べちゃって…俺も女の子に作ってもらいたいわ
自分の分であるクロワッサンをちまちま食べながらもしも彼女ができて弁当を作ってくれたら、というありもしないことを考えてみる

絶対残さず食う

「よし、俺は教室戻るけど…Aくんは?」

結構長いこと考えていたみたいだ、悲しいな
パンは食い終わったけど…

「もーちょいのんびりする」

「そっか」

扉が閉まり、足音が聞こえなくなると鳥の鳴き声しか聞こえないくらい静かになる屋上
ここ2日騒がしいと思っていた金髪は何やら黄昏ているようで何も話さない。

(……眠い)

太陽の暖かさと、静けさで睡魔が押し寄せ頭が揺れる。ここで寝たら風邪ひきそうだな

隣で扉の開いた音が聞こえ軽やかな足音が入ってきたような気がする。
眠すぎて目が開かないからわからないけど

「悩み事を隠すの下手だね」

…あー、寝るわ。耐えれねぇわこれ

最後に聞こえたのは「腐ったミカン」と言っている誰かの声だった。

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作成日時:2019年9月7日 1時

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