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29. ページ35

「いい天気だねぇ」

包帯だらけの男と、対照的に殆ど無傷な男
あれだけ怪我したのにもう治癒してるとか化け物じみてるな、と思いながら弁当を頬張る俺
今日はシャケがいい感じに焼けて美味い

「はぁ…面倒な事になったな」

元気のない伊藤くんの呟きに思わず苦笑いを浮かべる
先日の開久との対決はまだ決着がついていない。
つまり、また争う事になるのだろう

…俺はどうしようかな、その時になったら考えるか?

「お前が自分の度量も考えんと開久と揉めっからいけねぇんだぞ!俺らにまで被害及んだらどーしてくるんだヨ!」

「俺は手伝えることあったら手伝うかも…?」

「ありがとうAくん…って馬鹿野郎!元は三橋が原因じゃねぇか!」

「馬鹿!大元は今井の所為なんだって!」

いがみ合う2人
申し訳ないが口を挟ませてもらおう

「ヤクザに手ぇ出した時点でもうとっくに狙われてたんじゃねーかな?今回の事でバレただけでさ」

シャケ握りを食べながら言うと、何故この状況で食ってるんだという目で見られた。
お腹空くだろ、この時間

「開久はヤクザと繋がってんだよな?時期が早まっただけデショ」

あー、と空を拝む2人
今気が付いたのか、言われるまで忘れていたのか
顔を見合わせ笑い出した

楽しそうだしいいか

「やっぱりここにいたのね」

「赤坂さん、お父さん大丈夫?」

「うん!もう平気みたい…それとね、知らせたいことがあって」

嬉しそうに話す赤坂さん
ものすごく可愛い

「今日から開久に警察の警備ついたって!暫くは派手な動き出来ないと思う」

「そりゃいいね!ざまぁみろだ」

「ならほとぼりが冷めた頃にまた決戦かな…」

「任せたぞ…伊藤、A」

「巻き込むな巻き込むな、俺は手ぇ出してねーヨ」

「お前はやんねーのかよ?」

「だってアイツ強いんだもん!」

駄々をこねる三橋に呆れる
俺だって強い奴とはやりたくないし、痛い思いは御免だ

「三ちゃんはもう喧嘩しちゃダメ」

「ずるくない!?/ずるくねぇ?」

「コイツこんな奴だぞ、駄目じゃない!」

ベンチだ寝転びヤダヤダいう三橋、本人を蹴るわけではなくベンチの脚を蹴って怒る伊藤くんは優しいね

「赤坂さん赤坂さん、俺もしなくていーい?」

「うん、Aちゃんも喧嘩しちゃ駄目!」

「よし」

「おい!さっき手伝うって言ったじゃねぇか!駄目じゃないぞ、2人とも!おい!」


どれだけ伊藤が駄目じゃないと言っても、それを無視し続けた2人だった





「伊藤ちゃんも無理は駄目!」

「……はい」

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作成日時:2019年9月7日 1時

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