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「……あのさ、本当なの?さっき言ってたこと」
彼の方を見れないまま訊くと柔らかな声が耳に届く。
「本当だ。ずっとAが好きだった」
いつから、かは分からない。でも雅紀と両想いという事実だけでとっても嬉しい。
「俺と付き合ってくれないか?」
「……うん」
返事をすると雅紀は安堵し、周りは祝福してくれた。
「おめでとー!」
「二人とも幸せにね!」
皆が手を叩きながらお祝いの言葉をくれるけど、僕はどうしても白雪の事が気になった。白雪を見ると彼女と目が合いギュッと両手を握られる。
「白雪……?」
「Aは私の事を気にして遠慮していたのよね?勘違いさせてごめんなさい。どうか幸せになって」
「でも……」
白雪も雅紀が好きだったはずなのに。しかし、白雪は悪戯な笑みを見せると。
「実はね、私他に好きな人が居るのよ」
と耳打ちされた。だから大丈夫と。驚いて彼女を見るけど嘘を言っているようには見えない。
「ありがとう」
素直にお礼を告げると白雪も笑顔を返す。
「でさ、あの魔女君どうする?」
環君が言うと辺りはシーンとする。
皆が難しそうな顔になり、気付いた僕は慌てて口を開く。
「兄さんが余計な事したみたいでごめん」
皆は僕の兄さん発言に完全に固まった。やっぱり面倒な事になった。
「え、お兄さんだったの!?全然似てないね……」
恵奈の言葉に僕は苦笑いを浮かべた。
「一応双子なんだけどね」
僕が言った事に一番驚いたのは意外にも雅紀だった。
「双子が居るなんて聞いた事ないぞ」
「……兄さんは双子だって知られたくなかったみたいだから、知らなくて当たり前だよ」
雅紀が気まずそうな顔をしたのに気付いて胸が締め付けられる。けれど直ぐに抱きしめられて。
「双子だろうと関係ない。お前はお前だろ」
優しい声が耳元で囁かれ、知らず知らずの内に頷く。
魔女の僕が王子様と結ばれるなんて有り得ない事だと思っていた。
諦めた方が楽だと。
でも、この幸せを手放したくない。
そっと彼の背中に腕を回し、抱きしめ返した。
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