2話 ページ2
殺人鬼が居なくなったのを確認してクローゼットから出る。
此処に留まっても、何時かは彼に見つかる。
なら、最初に入った玄関から抜け出せば、街に帰れるのでは？
そう考えて向かおうとすると、床にキラリと光る物が落ちていた。
不思議に思い手に取って見ると、名前が刻まれた指輪だった。
大きめのサイズで、多分男用なのだろう。紫色の石が嵌め込まれている。
「シン……？」
と読むのだろうか……あの殺人鬼の名前……？
返した方が良いんだろうか……
先程まで居た部屋を出て、屋敷の入り口まで来た。
此処から出て街に戻ろうとした。
ガチャリとドアノブを捻る。
ガタッと音がし、扉は開かない。
首を傾げ、押したり引いたりを繰り返す。
だが扉は全く開かなかった。
さっきまでは開いてたのに……！
鍵が掛けられた様子もなく、至って普通の扉だ。
次の瞬間、顔の横をナイフが掠った。
驚いて上を見上げると、殺人鬼が階段の上で笑っていた。
「旅人さん見ぃつけた♪」
ニヤッと笑う彼はすぐ目の前まで迫っていた。
このままでは捕まってしまう……！
咄嗟に扉に刺さっていたナイフを抜き、殺人鬼目掛けて投げた。
狙ったわけでは無いが、それは見事に彼の胸を貫いた。
「かはっ……！？」
口から血を吐き出し、殺人鬼は崩れ落ちる。
その間に、扉を開けようとするが、何故か彼の事が気になった。
もう一度殺人鬼を見ると、苦しそうに胸を押さえていた。
額からは滝の様な汗が流れていた。
彼は不死身だと言った。その証拠に頭の怪我は既に治っていた。
なのに今回は治りが遅い……？
ナイフを投げて怪我をさせたのは僕だが、心配になった僕は殺人鬼に駆け寄った。
「あの、大丈夫……？」
殺人鬼は僕を燃える様な目付きで睨みつけた。
「あんたの所為でこうなったのに、大丈夫に見えんの？」
非難されても仕方なかった。
申し訳無く思った僕は、止血だけでもと思い殺人鬼の方に手を伸ばした。
ゆっくりとナイフを引き抜き、持っていたタオルを押し当て、その上から上着で縛った。
気休め程度だけど……
一連の動作を、殺人鬼は黙って見ていた。
まるで、如何して手当をするのか分からないみたいに。
実際、僕も自分が取った行動に驚いていた。
僕は彼に命を狙われた。それなのに、助ける義理が有るのかと。
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望月海(プロフ) - 瑠色さん» わざわざありがとうございます！探して読んでみますね (2018年9月27日 17時) (
レス) id: e37311db21 (このIDを非表示/違反報告)
瑠色(プロフ) - 話題に出ているようなのでお節介に一言。
ルヴァンネさんという方の「人形師」というシリーズがありまして、人形師が主人公のことをずっと旅人さんと呼んでいるのです。
ホラーがお好きなら、おすすめの作品ですよ。 (2018年9月27日 16時) (携帯から) (レス) id: 04ea405d06 (このIDを非表示/違反報告)
望月海(プロフ) - てんてこまいのりーさん» その、ルヴァンネ？さんは存じ上げませんが、彼が主人公を旅人と呼んでる理由は、名前が分からず呼び方に困ったので、旅の者=旅人さんと呼ぶ事にしたのです。何か勘違いをさせたのなら申し訳ありません (2018年9月25日 21時) (レス) id: 9ce190e98a (このIDを非表示/違反報告)
てんてこまいのりー - とても描写や設定が上手く、面白いです…！殺人鬼くんにときめきました(笑)本当に申し訳ない事をお聞きします、旅人さんと呼ぶなど、何処かルヴァンネさんの作品に似ていますが、意図的なものでしょうか…？ (2018年9月25日 20時) (レス) id: c26c235155 (このIDを非表示/違反報告)
紅茶(プロフ) - 望月海さん» そうなんですね！私の友達にも僕っ娘がいるので、なんだか親近感が湧きました笑 お答え頂きありがとうございます！ (2018年9月25日 16時) (レス) id: 3a874cc5aa (このIDを非表示/違反報告)
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