7話 ページ7
帰って来たシンを出迎える。
「また貰って来たの?」
シンの腕の中には、大量の本といくつかの食べ物が在った。
街の人達からのお裾分けらしい。
だが、シンが何時も笑顔でお礼を言う姿が見たい女性達の心理戦であるという事を僕は知っている。
「ああ。これはAに。本好きでしょ?」
頷きながら本を受け取る。
そして、ふと気になって聞いてみた。
「シンは何で人を殺した後、その死体を傍に置かなかったの?」
「え?」
シンは驚いた様に僕を見る。
僕は本の題名を指でなぞりながら、続け様に言った。
「心理学の本を読んだ時、殺人鬼は死体に執着する事があるって書いてあったから」
納得したのか、シンは苦笑いを浮かべる。
「だって死体は喋らないし、動かないじゃん。そんな人形みたいなのが好きって奴も居るけど、俺は話せない人形なんて御免だから」
そうなんだ……
「それより結婚しようよ」
当たり前の様に言うその台詞。
僕は笑って食べ物を片づける。
「そうだね……」
迷う素振りを見せながら、結婚に拘る理由が気になった。
「シンは何で結婚したいの?」
唐突な質問に、シンは目を瞬かせながらも答えた。
「結婚は夫婦の愛を誓うって聞いたから。それにずっと一緒に居れるんでしょ。俺、憧れてるんだ」
それでか。と納得し、シンの傍に行く。
不思議がる彼を椅子に座らせ、キスをした。
目を瞠る彼に、愛の言葉を告げた。
「シン、愛してるよ。結婚して下さい」
深紅の瞳が僕を捉える。
柔らかい笑みを浮かべた後、シンは僕を抱きしめた。
「俺も愛してるよ」
元殺人鬼との奇妙な恋愛。
でも、彼が僕を愛してくれるなら、それを返したい。
愛したいと思ってしまったから、簡単には抜け出せないんだ。
彼に囚われた僕は、一生シンの事しか愛せないから。
-fin-
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望月海(プロフ) - 瑠色さん» わざわざありがとうございます!探して読んでみますね (2018年9月27日 17時) (レス) id: e37311db21 (このIDを非表示/違反報告)
瑠色(プロフ) - 話題に出ているようなのでお節介に一言。
ルヴァンネさんという方の「人形師」というシリーズがありまして、人形師が主人公のことをずっと旅人さんと呼んでいるのです。
ホラーがお好きなら、おすすめの作品ですよ。 (2018年9月27日 16時) (携帯から) (レス) id: 04ea405d06 (このIDを非表示/違反報告)
望月海(プロフ) - てんてこまいのりーさん» その、ルヴァンネ?さんは存じ上げませんが、彼が主人公を旅人と呼んでる理由は、名前が分からず呼び方に困ったので、旅の者=旅人さんと呼ぶ事にしたのです。何か勘違いをさせたのなら申し訳ありません (2018年9月25日 21時) (レス) id: 9ce190e98a (このIDを非表示/違反報告)
てんてこまいのりー - とても描写や設定が上手く、面白いです…!殺人鬼くんにときめきました(笑)本当に申し訳ない事をお聞きします、旅人さんと呼ぶなど、何処かルヴァンネさんの作品に似ていますが、意図的なものでしょうか…? (2018年9月25日 20時) (レス) id: c26c235155 (このIDを非表示/違反報告)
紅茶(プロフ) - 望月海さん» そうなんですね!私の友達にも僕っ娘がいるので、なんだか親近感が湧きました笑 お答え頂きありがとうございます! (2018年9月25日 16時) (レス) id: 3a874cc5aa (このIDを非表示/違反報告)
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