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9話 ページ9

僕の話を一通り聞き終えると一期は更に僕を抱きしめる力を強くする。

「……申し訳ありません」

「なっで……ぎみが謝るの……?」

嗚咽混じりの言葉を紡ぐと彼は酷く顔を歪めて。

「貴方を悲しませないと誓ったのに……」

その声には悔しさが滲み出ていて。僕を悲しませたのは君じゃないのに。

本気で悲しんでいる彼がどれくらい僕を好きかなんて、それだけで判ってしまう。

確かにあの子とこの(・・)一期一振は好き合っていたんだ。

「僕は……あの子じゃないよ……」

「いいえ。私からすれば二人とも同じA殿です。それに傷付けたのは私なんですよね?尚更許せないんです」

ずっと大事にして来たのに。彼は低い声で言った。

その様子がブラック本丸出身だと思わせるには十分過ぎて肩が震えた。

一期は、もしかして……

「あー、そろそろ良いかな?」

違う声が真横から聞こえ驚いて顔を上げると二十代くらいの若い男性が困った風に僕らを見ている。

「あ、主殿……!」

一期は慌てた様に僕から離れ立ち上がった。

どうやらこの人は此処の主らしい。

彼は穏やかな笑みを浮かべて僕に話しかける。

「初めまして。俺はこの本丸の主、紅葉って言います。君が戦場で行き倒れているのを部隊の刀剣達が発見して、連れて来たんだ。それでね、君の主の審神者名を聞いて探したら該当する人が居たんだ。確認してもらえますか?」

彼は薄いタブレットを差し出し、受け取ると主の事が詳細に綴られていた。

「この人が、僕の主です」

そう証言すると紅葉さんは安堵した表情を浮かべる。

「良かった。あともう一つ訊きたいんですが……この本丸はブラック本丸ですか?」

僕は驚きで目を見開く。紅葉さんが何故そのような事を訊くか、分からなかった。

「……違います。どうしてそう思ったんですか」

「貴方を見つけた時、部隊は貴方一人きりだったと聞いたので。あの合戦場はレベルが高く一振りで戦うのには悪条件です。しかも重傷を負っていた。手入れもされずレア刀剣を探し続けさせられたんじゃないかと」

僕は主の汚名返上をする為に必死に否定した。

「本当に違うんです。少し、本丸の刀剣と喧嘩してしまって。憂さ晴らしをしようと単身で戦場に向かったんです」

紅葉さんは事情を把握してくれたのか、それ以上は何も言わなかった。

「では、貴方を本丸に返さなければなりませんが、宜しいですか?」

紅葉さんの言葉に膝の上に置いていた手を握り締める。

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ちょこクレープ(プロフ) - ありがとうございます!楽しみにしてます! (2022年6月16日 22時) (レス) id: 4c69a0ba50 (このIDを非表示/違反報告)
望月海(プロフ) - ちょこクレープさん» 返信遅れてすみません。次にどの刀剣男士にしようか迷っていたので、時間はかかるかもしれませんが書いてみますね。 (2022年6月16日 21時) (レス) id: 3c48936758 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこクレープ(プロフ) - 面白かったです!できれば、燭台切光忠のバージョンもみたいです! (2022年5月26日 17時) (レス) @page12 id: 4c69a0ba50 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:望月海 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年9月11日 14時

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