2話 ページ2
「この子が居た本丸は審神者が政府に逮捕されて刀剣達は他の本丸で預かる事になったの。それでAは私の本丸に来たのよ」
主が告げる内容はあまりに重苦しくて僕らは黙り込んだ。けれど主は努めて明るい笑顔で言った。
「皆、そういうわけだからAを宜しくね」
刀剣達は皆頷いた。けれど小さい僕は話が終わるや否や大広間を出て行ってしまった。
「警戒されてるな……」
隣で呟く薬研に同意する。
けれどブラック本丸出身なんだから仕方ない。そう簡単に信じ切れない筈だ。
自分自身の事だから良く分かる。
でもどうしたら態度を軟化してくれるだろうか。
幾ら自分自身でも相手は子供だ。小さい頃の自分がどんなだったかなんてあまり覚えていない。
やっぱりあの子がこの本丸に慣れるまで待つしかないんだろうか。
胸がモヤモヤしたままでその日を過ごしていたら小さい僕に変化が訪れた。
長い廊下を歩いていると部屋から楽しそうな声が聞こえた。
気になって覗いて見ると一期と小さい僕が仲睦まじく会話している。
この僅かな数時間で彼女と仲良くなれた一期に感心する。
沢山の弟を持つ彼は小さい子の相手をするのに馴れているんだろう。
じっと黙って覗いていたからか、僕に気付いた彼女は警戒を示した。
一期も僕の存在に気付くと笑い掛ける。
「A殿でしたか。どうしたんですか？」
「えっ、ああ……。楽しそうな声がしたから気になって」
戸惑いながらもそう言うと、彼は嬉しそうに言う。
「はい。すっかり懐いてくれました。元居た本丸の私に妹の様に可愛がられていたみたいです」
しかしその違和感がなんなのか答えは出なかった。
もう一度、今度は探る様に小さい彼女をつぶさに観察する。
ハイライトのない瞳は変わらずだったけど、翳りは薄れた気がする。
あまりに長く見つめていた所為か、彼女は居心地悪そうに一期の背中に隠れた。
「A殿、彼女が怯えているので……」
「あっ、ごめん。あと主がもう少しで夕餉だって言ってたから」
一期の棘のある言い方に困惑しつつも、そう告げる。
その時見た一期の笑顔は何時も見る優しい笑顔だった。
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ちょこクレープ(プロフ) - ありがとうございます！楽しみにしてます！ (2022年6月16日 22時) (
レス) id: 4c69a0ba50 (このIDを非表示/違反報告)
望月海(プロフ) - ちょこクレープさん» 返信遅れてすみません。次にどの刀剣男士にしようか迷っていたので、時間はかかるかもしれませんが書いてみますね。 (2022年6月16日 21時) (レス) id: 3c48936758 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこクレープ(プロフ) - 面白かったです！できれば、燭台切光忠のバージョンもみたいです！ (2022年5月26日 17時) (レス) @page12 id: 4c69a0ba50 (このIDを非表示/違反報告)
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