JW設定メモの短編集 (ページ10)

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生徒会長のオモテとウラ　１－１ページ10

モブ生徒(不良じゃないよ)side
まずい。ものすごくまずい。
悪「ほら、お兄ちゃん。慰謝料はぁ？」
悪「キミのせいで骨折れたんだけどぉ？」
なんでだ。僕はただ塾から帰っていただけだ。そしたらぶつかられて、こうなった。当たり屋だろ、この人たち。
悪「だんまりもいつまでも続けられると思うなよ？」
あ、やばい。キレだした。なんなんだ、こいつら。情緒不安定かよ。
黄「はぁーい、そこまでぇ。俺たちのナワバリで何してるんよぉ、おにーさんたち」
場違いに間延びした声がした。僕もチンピラも声の方を見る。
そこに立っていたのは、黒いロングコートを着た茶髪の男だった。綺麗な顔でふわふわにこにこしているけど、確実に不良の一種だ。
悪「あ"あ"？誰だよ、てめぇ」
チンピラが声を荒げる。茶髪の男は笑みを絶やさない。
黄「誰だと思うー？」
うふふ、とからかうように笑うそいつに、チンピラはしびれを切らして殴りかかった。茶髪の男はなおも笑っている。
ドカッ、という鈍い音とともに壁に叩きつけられた。殴りかかったチンピラが。
青「…うちの総長に、何してんねん」
地の底から響くような怒気を含んだ低い声。僕の後ろの方からチンピラに飛びかかり、強烈な回し蹴りをいれた奴の声だ。
茶髪の男を守るようにこちらを睨みつけるそいつは、びっくりするくらい整った顔をしていた。高身長だし。
青「淳太も淳太や。あんな奴ら、放っときゃええやんか」
高身長が茶髪の男に振り向いて言う。茶髪の男はけらけらと笑い声をあげた。
黄「りゅーせぇは怖いなぁ、大丈夫だってぇ」
それにぃ、と茶髪の男が僕に視線を移す。
黄「あの子、うちの子やん。可哀想やんかぁ」
うちの子…？
どういうことだ。僕はあんな奴知らない。
青「はぁ…まぁええわ。とっとと片付けて帰ろうや、あんなザコ」
黄「んふふ」
相変わらずふわふわと茶髪の男は笑って、チンピラを見た。
悪「…っ、舐めてんじゃねぇぞ、この野郎！！」
チンピラはそう叫んで、茶髪の男に殴りかかる。茶髪の男は動かない。
チンピラの拳が茶髪の男に当たる寸前、茶髪の男は上半身を後ろに反らした。チンピラの拳が空を切る。茶髪の男は笑って、軽い動作で足を横に振り抜いた。
軽い動作でも威力は絶大で、顔面を強かに蹴りつけられたチンピラが地に伏す。
地面に倒れたチンピラを一瞥して、茶髪の男がふわふわと僕に歩み寄る。体を強張らせた僕に、茶髪の男は尋ねた。
黄「怪我は？なんも取られてない？へーき？」
拍子抜けして頷く僕に、茶髪の男はにっと笑いかけた。
黄「そっかぁ、よかったわぁ。気をつけて帰り」
僕の頭をくしゃっと撫でて、ばいばい、とその人は笑った
。