JW設定メモの短編集 (ページ6)

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僕は『普通』だ！！　１－１ページ6

淳太side
がやがや騒がしい教室。みんな仲の良い友達とお昼ごはんを食べるために教室を出ていく。
楽しそうだね。僕は独りが好きだけど。
そんなことを心の中で呟いて、お昼ごはんを買うために購買へ向かう。片手に文庫本を持って廊下を歩いて行くと、やたら騒がしい場所があった。
「きゃー！！『WEST』よ！！」
「ほんまにかっこええわぁ…」
うえすと…？誰だろう、それ。この騒がしさを見る限り有名人らしいけど、生憎僕は友達がいなくて学校に詳しくないからわからない。
そう思って、そこを通り過ぎようとしたとき。
ドンッ「わっ…」
誰かにぶつかってしまった。僕は絶望的に運動音痴だから転ぶことを覚悟したけど、そうはならなかった。
僕の体がふわっと爽やかなシトラスの香りに包まれた。
僕がぶつかってしまった人が、僕を抱きとめてくれていた。
青「っと、ごめん、大丈夫？」
僕の顔を覗き込む人は、とんでもないイケメンだった。同性の僕も綺麗だなぁ、と思うレベルの。
黄「あ、ありがとうございます…僕もぶつかってごめんなさい…」
ありがとうの思いを込めて微笑むと、その人の耳が赤くなった。ぱっと顔が背けられて、シトラスの香りが遠ざかる。
青「別に、ぶつかったんはこっちや…それよりおまえ、眼鏡ええんか」
黄「眼鏡…？あっ…！！」
慌てて床に膝を着いて眼鏡を探す。けど、どうしても見えづらくて手探りになってしまう。
青「これやろ？」
かしゃん、という音とともに僕の手に眼鏡が触れた。僕を助けてくれたイケメンさんが眼鏡を見つけてくれた。
そこで初めて、ものすごく周囲の視線を浴びていることに気付いた。
嫌だ、目立ちたくない！！
黄「あっ、あの、ありがとうございました！さよなら！！」
咄嗟に眼鏡をかけることすらせず立ち上がり、イケメンさんに背を向ける。
青「っ、待ってや、せめて名前…」
後ろでイケメンさんが何か言ってるけど聞こえない。人のいない非常階段まで走った。
お昼ごはんを手に入れ損ねたけど、そんなのどうでもいい。今人のいる場所を歩いて、名前なんかを特定される方がずっと怖い。
結局、その日はお昼休みが終わるまで非常階段にいた。