JW設定メモの短編集 (ページ16)

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幕末女子高生　鬼と夜明け　１－１ページ16

激動の時代、幕末期。
天下泰平のため、生命を賭して戦った者たちを志士と呼んだ。
時は流れ、彼らの魂を宿す学び舎がある。
私立霞雨学園。
そんな学び舎に、今日転校生がやってくる―――

教「君ね、パーマは校則違反。転校初日でそれは無いよ」
赤「違うから！単に寝癖酷いだけや！！」
教「要チェックだよ、まったく」
だから坂本龍馬の転入には反対したんだ。
そう呟いて背を向ける教師に、転校生である重岡大毅はそんなぁ…と肩を落とす。転校初日にとんだ災難だった。
黄「失礼」
涼しげな声がして、ふわりと重岡の髪に白い指が触れた。
赤「なっ…」
重岡の髪を指に絡め、初対面の男子生徒が重岡の顔を覗き込む。
あまりの至近距離に抗議の声をあげようとした重岡だったが、美しい男子生徒の前に、頬を赤らめて顔をそらした。
それに、この男子生徒はなんとなく同族の気配がする。彼の瞳の奥にもう一人『誰か』がいて、重岡の内にいる坂本龍馬を見つめている。そんな気がする。
男子生徒は重岡から離れ、教師に向かって言った。
黄「この子の言うとおり、単にくせっ毛なだけですよ」
教「…土方さんがそこまで言うなら」
教師は若干不服そうにそう矛を収めた。
しかし重岡はそれどころではない。
龍「土方って…しん、新選組の…？！」
重岡を押しのけ、坂本龍馬が勝手に話しだした。腕をさすりながら、顔を青くして尋ねる。
男子生徒は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに温度のない笑みを浮かべた。
歳「あぁ。『鬼』の方だよ」
少し首を傾げ、笑みを消して坂本を冷たく見据える。
歳「上のお偉方が散々騒いでた転校生っていうからまさかとは思ってたが…やっぱりおまえか、坂本龍馬」
だが、と温度のない声で言う。
歳「学校(ここ)では好き勝手できると思うなよ」
そう言って重岡を睨みつける男子生徒に、重岡は知らない感情が湧き上がってくるのを感じた。重岡に宿る坂本龍馬も同様だった。