《限界メンバー》彼らと過ごす日々2

夏祭り　tr ページ20

2人きりの夏祭り、なんて言えば聞こえはいいけど実際は大人2人が花火を持ってはしゃいでいるだけだ。

わざわざ浴衣なんて着て馬鹿らしい。でも彼に見せたくて折角新しく買ったのに着ないなんて勿体なくて。

『たらこー、どう？』

長い袖を揺らし彼の前でくるりと回る。明るめな赤色に白い梅の花の模様が刺繍されているこの浴衣は彼を思い浮かべながら選んだものだ。

彼のイメージカラーの赤に彼の大好きな梅ねりから連想した梅の花、私を彩るものは全て彼から出来てる。

「めっっちゃ可愛い！しかも俺の色やん！」

嬉しそうに笑いながらすぐに私の意図に気付いたようだった、見透かされると少し恥ずかしいな。

赤くなった顔を隠すようにして彼の手を引く。

『ほら、早く花火しようよ！』

袋の中から１本ずつ花火を取り出していく、どれからしようかなんて迷いながら開けていると彼が2本同時に取った。

「迷ったら2本ともやればいいじゃんー！」

2つの火花を散らしながらはしゃぐ彼の姿は子供そのものでつい笑ってしまう。

『じゃあ私も同時にしちゃおうかな〜』

折角だと種類の違う花火を手にして彼の元へ駆け寄る、危ないなんて笑い合いながらどんどんと花火をつけていく。

2つ、3つと同時につけていたからあっという間に花火は無くなってしまい残るは線香花火だけだった。

「じゃあこれで勝負しよ、負けた方は罰ゲームね！」

『望むところ！絶対に負けないから！』

謎の自信を持ちせーのと掛け声で同時に火を付ける。
最初は小さかった火花はどんどんと大きくなっていく。

絶対に落とさないと花火ばかり見つめていた私は彼が近づいているのに気付かなかった。

「ね、A」

彼に呼ばれ横を向くと目の前には彼の顔。
小さなリップ音と共に私の手元からは光が消えた。

「へへ、俺の勝ちね！」

まだパチパチと光る線香花火に照らされた彼の顔は誇らしげに笑っていた、きっと私の顔は真っ赤なんだろうけど。

『やられたっ…！！』

昼寝　yk→←離れないで　ar

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