検索窓
今日:14 hit、昨日:19 hit、合計:20,874 hit

#008 黒が三つ ページ10

Aside

「こんな時間から会議だなんて面倒だねぇ。

姐さんが来るなら、遅れられないし。」

『紅葉さんが?来るの?』


今回の作戦の会議には、紅葉さんが居た。

太宰は予想していたようだったが、

単独で行動することの多かった私としては

部隊持ちの紅葉さんの参加は意外だった。


「今回はちと厄介な相手での。

先代の首領派の残党が

マフィアの縄張りを荒らしておるのじゃ。

しかも能力者の殺し屋を雇うておる。」

『…ああ、だから。』

先代のころのパートマフィアには詳しいから。

「其方の悪い所じゃな。察しが良過ぎるのは。」

『太宰幹部には遠く及びませんよ』

「ふ…くく。

太宰も似たような事を言っておったかの?

お主らは似た者同士じゃな。」

『「其れは違う」』

背後で自身が発したものと同じ言葉がした。

「おったのかえ、太宰。」

「ええ。帽子君もいますよ?呼びます?」

「だーれーがー帽子だってぇ?!」

中原が太宰の後ろから姿を現す。

「嗚呼、居たのか。小さくて見えなかったよ」

「五月蝿え。お前みてぇな木偶と違って身が

詰まってんだよ。」

「近頃の携帯のように小型化かい?

やめときなよ。君がそれ以上ちーさくなったら

とうとう私の視界から消える。

いっそのこと中原 中也なんて辞めて、

小原 小也にでも改名したほうがいいよ。

ぴったりだよ?身長に。』

中原が、あ"?と太宰を睨みつけながら胸倉を掴む。

また始まったと私は溜息を吐いた。

マフィア内では人の死の次に見慣れた光景だ。

これじゃあ会議になんてならない。

「いい加減にせんか。話が進まぬじゃろうて。

…今回の件、仕切っているのは二人の

元幹部じゃ。片方はわっちの部隊が殺る。

じゃが…もう片方の異能がちと厄介での、

太宰が要る。其方らの仕事じゃ。頼むぞ?

其れとA、怪我には呉々も気をつけての?」

『紅葉さん。ご心配なく。治りますから。』

「そうじゃがーー

まぁ良い。過保護になり過ぎるのもいかんの。

場所は端末に送ってある。」

『「「了解。」」』

短い会議を終え、ビルを出ると

既に暗くなり始めた空が目に入った。

先程まで浮かんでいた太陽はすでに姿を消し、

異様なまでに明るい星が街に散っている。

呼吸の度に夜の冷気が自身の肺を満たした。

コートが風を孕んではためく。

三つの黒が輪郭を隠すように闇に溶け込むと、

後にはぼんやりとした三つの人影が残った。

夜は私達の時間だーー

#009 マフィアの黒-1→←#007 迷い犬共-3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
42人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

置いときもの(プロフ) - 黒木宙さん» コメント有難うございます!更新頑張りますのでお待ちくださいね!!体調に気を付けます!笑 (2017年7月17日 18時) (レス) id: 001e2135c2 (このIDを非表示/違反報告)
黒木宙(プロフ) - 何時も楽しみにしています!次が待ち遠しいです笑体調には気を付けて頑張ってください! (2017年7月17日 18時) (レス) id: 0545e227ea (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:置いときもの | 作者ホームページ:http://user.nosv.org/p/oitokimono/  
作成日時:2017年6月15日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。