#006 迷い犬共-2 ページ8
太宰side
部屋を追い出された私達は思い思いに愚痴を溢す。
「何でお前と…クソッ」
小柄で帽子をかぶった少年、
ーー中原 中也が不満気に言う。
『黙っててよ。私だって厭だよ。』
「煩え、包帯！」
私達は同じ歳だが、中也はAの靴の分を
除いてもそれより幾分か小さい。
因みに中也に詰め寄られた今、三人の中で一番
背の高い私からは中也の帽子しか見えない。まるで
帽子に話しかけられているかのような気分だ。
『またそれか。君の頭の中は身長と同じで
止まってるんじゃないのかい？』
煩え、と中也が蹴ってくる。
それをひらりとかわしながらAの
自動式拳銃を指先でちょいとつついた。
『銃はこれだけかい？大腿のナイフと
低身長を誤魔化すための靴に仕込みナイフ…
一人で闘うにしては思ったより少ないんだねぇ』
「低身長は余計だよ。」
「そいつの仕事はお前と違うんだ。
裏切りモン片すのに武器なんか要るかよ。」
『そりゃあ要らないね。ところで首領の幹部推薦を
断ったって話は本当？』
本来、幹部推薦とは部下の能力を見込んだ
幹部が行うものだ。
しかし、特別枠として首領からの直接推薦がある。
推薦されれば、幹部会議で其れに相応しいか
話し合われるのだが、直接推薦で話し合いを
する事はない。それについて本人から
詳しい事情が聞きたくて再びその話を持ち出した。
「ええ。まあ。」
私が話を続けようと口を開いた瞬間
中也が大声を出す。
「はあ？首領の推薦を断ったぁ？！」
「煩いな。帽子。」
側で騒がれたのが気に障ったらしく、
Aが顔を顰める。
『おかげで私が幹部にされたよ。』
「お前、幹部になったのか…」
中也が意外そうな顔をした。
『首領による直接推薦…。幹部になれば、
名声、富、部下…その他諸々が一度に手に入る。
…断る理由はどこにあるんだい？』
「私は適任じゃない。
私の仕事は裏切り者の断罪。
幹部になって部下を引き連れると目立つし、
それに部下の教育に時間を割く暇がない。
部下の裏切りも考慮して、
異能がバレないという現状を維持したい。
幹部になれば権力が手に入るけれど…
それも必要ない。」
そう言いながらネックレスを取り出す。
紐の先には銀のプレートがぶら下がっていた。
「なんだそれ。」
「銀の託宣、防水バージョン。
よく川に行くから託宣の代わりに首領がくれた。」
私達は珍しく気が合って、女の子に
甘いなぁ首領は。と溜息を吐いた。
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置いときもの(プロフ) - 黒木宙さん» コメント有難うございます！更新頑張りますのでお待ちくださいね！！体調に気を付けます！笑 (2017年7月17日 18時) (
レス) id: 001e2135c2 (このIDを非表示/違反報告)
黒木宙(プロフ) - 何時も楽しみにしています！次が待ち遠しいです笑体調には気を付けて頑張ってください！ (2017年7月17日 18時) (レス) id: 0545e227ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：置いときもの | 作者ホームページ：http://user.nosv.org/p/oitokimono/
作成日時：2017年6月15日 23時
