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#003 或る共通の友人-1 ページ5

太宰side


ーーポートマフィアには三つの掟がある。

首領の命令には絶対に従うこと。

組織を裏切らないこと。

受けた攻撃は必ずそれ以上にして返すこと。

順はそのまま重要度の順でもある。






『幹部?嫌だよ。でもねぇ…逆えないのだよ。』

「お前がそう言うなんて珍しいな。」

隣に座って酒を嗜む赤毛の友人ーー

織田 作之助がこちらを見向きもせずに言う。

例え彼が知り得る筈のない情報を話そうと、

彼を驚かせるのは難しい。

否、不可能なのでは無いだろうか。

彼の異能は天衣無縫ーー

ーー数秒先の未来を知る事ができる為だ。

『首領の命令だからね。

逆らえば、流石の私でも首が飛ぶ。

嗚呼…そういえば今日首領の命に逆らっても

生きていたマフィアに会った。』

「ああ、あの人か。」

『織田作、知ってるの?』

驚かせようと思っていたら、

此方が驚かされてしまう始末だ。彼には敵わない。

いつだって此方の予想の遥か上をゆく

この男だからこそ、共に過ごす時間は

楽しいのだが…

「幾度か会ってる。」

『なら紹介してくれてもいいじゃないか』

天然、というかなんというか…

少し、こういうところがあるのだ。


酷いよ…私だけ仲間はずれかい?

織田作なんてもう知らない…と

へそを曲げる私に済まなかったと

織田作が苦笑する。

「聞かれなかったから、教えなかった。」

彼はいつもこうだ。

『織田作…これだから君は…。

じゃあ、今日は教えてくれるね?』

「別にいいが、

無所属の者同士の会話なんて大した事がないぞ。」

『其れでも聞きたいんだよ。

…え、あの子部隊所属じゃないの?

てっきり部隊でも率いているのだと思ってたよ。』

「否、元は遊撃部隊の隊長だったが、

今は所属していないらしい。

奴は…郷崎 A。」

嗚呼、そんな名前だったのかと

頭の中で名前を呟く。

『A…か。ふうん…

彼女も異能者なんでしょう?』

「多分な。実際目にしたことはないが、

特定範囲内の空間と物資を操る能力らしい。」


一段と興味が湧いてきた。


それと同時に納得する。

長時間 川を流れていただろうに、

肌の発色がやけに良かったのはその為か。

無意識のうちに異能が働いて、

体温が下がらないようにしていたのだろう。

確かに。それじゃあ死ねない。

「太宰?珍しく楽しそうだが…。」


『嗚呼、そうだね。珍しく楽しいよ。』









幾つも開けられ、

空になった蟹缶がカランと

音を立てて塔を築いた。

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置いときもの(プロフ) - 黒木宙さん» コメント有難うございます!更新頑張りますのでお待ちくださいね!!体調に気を付けます!笑 (2017年7月17日 18時) (レス) id: 001e2135c2 (このIDを非表示/違反報告)
黒木宙(プロフ) - 何時も楽しみにしています!次が待ち遠しいです笑体調には気を付けて頑張ってください! (2017年7月17日 18時) (レス) id: 0545e227ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:置いときもの | 作者ホームページ:http://user.nosv.org/p/oitokimono/  
作成日時:2017年6月15日 23時

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