#024 牧羊犬 ページ26
太宰side
『…一人でなんて無謀だよ。』
捕まれば拷問されるかもしれないし、
どんな異能力者がいるか解らない。
最悪…死ぬかもしれない。
死ねるなら、この子は喜ぶだろうけれど。
「大丈夫。」
そう答えたAの声に覇気はない。
『いつ行くの?』
「1週間後。」
機密で動くから、バラさないでよ?
とAが笑った。
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漆黒の扉が重々しい音を立てて開いた。
開いた扉から覗く部屋は自身のいる場所より
更に薄暗い。
『首領、私です。失礼します。』
今日はあの人形ような少女は
居ないらしかった。
首領が気を利かせたのかも知れない。
あの人のことだ、…それはないな。
『Aの潜入の件ですが。』
「太宰君、すまないがーー
少し待ってくれたまえ。」
どうやら先客がいたらしい。
暗闇から趣味の悪い帽子が現れたので、
私は思わず顔をしかめた。
エリス嬢が居なかったのも先客がいたからか。
「首領、
此方は後回しにして頂いて構いませんよ。
それよりAの件、というのは?」
おや、君も気になるのかい?
と首領が首をかしげる。
「うちの幹部は仲が良くて微笑ましいねぇ。」
はらりと落ちた髪を掻き上げ、
薄い唇が弧を描く。
笑みではない其れにゾッとした。
『Aの件、
単独での捜査と聞きましたが、
少々無謀では?』
「私の作戦が無謀というのかね?
其れとも、そんなにAちゃんが心配かい?
怪我人や死人なんて毎日ごまんと出る。
若し彼女がそうなろうとも…
仕方ないことではないのかな?
それより優先すべくは組織の安寧だ。
そうだろう?中原君。」
「はい…ボス。」
中也が言う。
…だから君みたいな牧羊犬は厭なんだ。
『いえ、本当に組織の安寧を望むのなら、
Aを守るべきです。彼女の異能は希少です。
今後、マフィアの戦力には欠かせないかと。』
深々と頭を下げる。
これで断られたら、
勝手について行くつもりだった。
「…ふむ。それも一理ある。
そう言えば、
同じ日に敵組織との会合があったね。
君達の何方か一方が其れに
参加するなら…許可しよう。」
私が口を開くより先に中也が返事をした。
「俺が参加します。ボス。」
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置いときもの(プロフ) - 黒木宙さん» コメント有難うございます!更新頑張りますのでお待ちくださいね!!体調に気を付けます!笑 (2017年7月17日 18時) (レス) id: 001e2135c2 (このIDを非表示/違反報告)
黒木宙(プロフ) - 何時も楽しみにしています!次が待ち遠しいです笑体調には気を付けて頑張ってください! (2017年7月17日 18時) (レス) id: 0545e227ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:置いときもの | 作者ホームページ:http://user.nosv.org/p/oitokimono/
作成日時:2017年6月15日 23時