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#019 マフィアの残業 ページ21

Aside

『ああ"〜仕事が無い〜』

「ほんの数週間前まで忙しい忙しいと

喚き散らしていたのに、どうしたんだ。」

「消えた」

その言葉だけで織田作は

理解してくれたようだった。

そう。消えたのだ。絶えなかった裏切りが。

「君の頑張りのおかげぢゃないのかい?」

太宰が蟹缶を弄びながら言った。

「それにしてもおかしいだろ。」

中原も会話に加わる。

そう、おかしいのだ。

抗争なんて無くなる筈もないのだから。

しかしそれよりもおかしいのはこの状況ーー

いつものバーに

下級構成員2人と幹部2人ーー

はて、何故こうなったのかしら…

なんて考える。

嗚呼、中也の幹部昇進祝いをしに来たんだっけ。

「ところで、君はいつ幹部になるんだい?

これで断るのは2回目だよ。

いい加減にしないと掟破りで処刑だ。」

確かに。

私は2度も一番重要な掟を破っている。

そろそろマズイかなぁ…

なんて話をしていた時に首領から

電話がかかってきたものだから、

危うく携帯の液晶を割るところだった。

「真逆本当に処刑?!」

弾んだ声が響く。

太宰…なんで嬉しそうなんだお前は。

『…もしもし郷崎です。』

「郷崎君、今日ねぇ…幹部会があったのだけれど

幹部席がこのまま埋まらないのは

今後支障を来すとの結論に至り…

満場一致で君を幹部に昇進させる事が

決定したのだよ。

次の仕事は執務室のデスクの上に置いておいた。

申し訳無いけど頼むよ。因みに

この素晴らしい意見を提案してくれたのは…」

『太宰。』

そういうことか。

処刑の通知だと脅かして喜んでいたのではなくーー

此奴はコレを喜んでいたのか。

「そう、太宰君だ。」

横を向くと満面の笑みを浮かべる太宰と

目が合った。

「これでしばらく川には行けなくなるねぇ。」

悪戯が上手くいった時の笑みだ。

五分程前の自分が憎らしい。

仕事が無い?

良かったね。今日から仕事だらけだよ。

其れこそ眠れないくらい。

『A、悪りぃ、おれ、賛成しちまった。』

心底申し訳なさそうな顔をする中原の隣で

ふくく…と太宰が笑っている。

憎々しげに太宰を睨みながら席を立つ。

何故なら幹部執務室…に

"首領自ら置いて下さった"

仕事を片付けねばならなくなったからだ。

恐らくこのサボリ魔の仕事も混ざっている。

この時ばかりは

中也の意見に同意せざるを得ない。

『太宰…殺す』

「あはは。

明後日辺りまで君が生きていられたら、ね?」








『…シネ。』

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置いときもの(プロフ) - 黒木宙さん» コメント有難うございます!更新頑張りますのでお待ちくださいね!!体調に気を付けます!笑 (2017年7月17日 18時) (レス) id: 001e2135c2 (このIDを非表示/違反報告)
黒木宙(プロフ) - 何時も楽しみにしています!次が待ち遠しいです笑体調には気を付けて頑張ってください! (2017年7月17日 18時) (レス) id: 0545e227ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:置いときもの | 作者ホームページ:http://user.nosv.org/p/oitokimono/  
作成日時:2017年6月15日 23時

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