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#018 帽子-2 ページ20

Aside








ーー訳が解らないーー









数日前に会ったばかりで、

しかも

全く他人に興味を示さないらしい人間が…

如何して?

私のことなんか、どうでもいいだろうに。

何が気に触ったのだろう。

そんな私も何故彼を追っているのだろうか。

放っておけばいいじゃないか。

面倒なのだから。



なのに私の足は止まろうとしなかった。



斬られた腹の傷が痛む。

開いているかもしれない。



太宰は誰も追ってこないと

思っているのだろう。

自分の行動など、誰も読めないだろう…と。

だが、生憎私は彼が行きそうな場所を

知っている。

むしろそこしか知らない。






嗚呼、紅葉さんの言った通り

私達は似た者同士なのかもしれない。









『太宰』








私はとある店の扉を開いた。

案の定彼はそこにいた。









"前回と同様、蟹缶を積み上げながら。"









太宰side




『嗚呼、君か。』

以外にも私の発した声は穏やかなものだった。

『傷は大丈夫なの?』

「…あはは。今更だね。

もう開いてる。」

『莫迦ッ!』


私がそう叫んだのと彼女がふらりとバランスを

崩したのは、ほぼ同時だった。


Aは駆け寄った私の手を

借りようともせず、

赤い花を咲かせながら、後ろ手に閉じた

扉にもたれかかる。手に血が付いていたのか、

木製の扉はところどころ血に濡れていた。

その態度は近寄るなと言われているようで、

私は唇を噛んだ。






『心配したんだよ………少しは。』






「私も少しだけ心配した。」







それから

君は「素直じゃないね。」と言った。

私は『君には負けるよ。 』と返した。

そして互いに互いを笑いあったんだ。








それが今より丁度5年前ーー







あの後中也も来て、

結局3人で帽子を買いに行く羽目になった。

あの時選んだ趣味の悪い帽子を中也は今でも

かぶっている。









"何故今になって五年前の話をするのか。"

其れにはれっきとした理由がある。

#019 マフィアの残業→←#017 帽子-1



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置いときもの(プロフ) - 黒木宙さん» コメント有難うございます!更新頑張りますのでお待ちくださいね!!体調に気を付けます!笑 (2017年7月17日 18時) (レス) id: 001e2135c2 (このIDを非表示/違反報告)
黒木宙(プロフ) - 何時も楽しみにしています!次が待ち遠しいです笑体調には気を付けて頑張ってください! (2017年7月17日 18時) (レス) id: 0545e227ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:置いときもの | 作者ホームページ:http://user.nosv.org/p/oitokimono/  
作成日時:2017年6月15日 23時

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