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#013 マフィアの黒-5 ページ15

Aside

『あとは異能力者だけかなぁ?』

視界を阻む煙の中、痛みを堪え薄っすらと笑む。

私の接近に気付かなかった女はギョッと

驚いたような顔をした。

私の左腕が掴んだ女の腕。

それは突然、肉体がこの世に存在するのを

拒むかのように急激に"崩れ"始めた。

「おお、ぐろい。」

そう言いながらも、太宰が敵から目を

そらすことはない。

「お前の事は信用してるが、間違っても

テメェの自 殺には巻き込んでくれるなよ。

”ソレ”は流石に御免被りてぇ。」

『そんな事しないよ。同意は得るよ。流石に。』

「同意を得たらするのかよ。」

跡形もなく女が消える。

目に見えないレベルまで分解された

というのが正しい表現だが。

厚着の男がヒィっと声をあげたのが聞こえたが

それすら掻き消されるように男諸共消えた。

私が三歩で距離を縮めたからだ。

『あと、ひとり。』

微笑んだまま近付いて行く。

視線は私に固定されたままだ。

毒を操りもせず、じっとしている。

奴に他の景色は見えていない。

ましてやひっそりと背後から近寄る中原には

気付く筈もない。微かにした衣擦れの音に

気付いた時にはもう遅かった。

中原は死体を一瞥した後、手際良く無線を繋ぐ。

「終わりました。」

「ほぉ、相変わらずの手際じゃの。

此方も粗方済んだところじゃ。残りも頼むぞ。」

無線が切れる。

飛び散った血液が不快で頬を擦った。

あんなに飛散すると思っていたら異能で…

血が飛散?

まさか…

視線が目に見えない何かを追って空中を彷徨った。

死んだのは毒の異能力者、

雇ったのは死体をゾンビとして操る異能力者。

通常、異能は発動者が死んだなら停止するが…

今回は?発動者が生き返る今はどうなる?

まだ其の異能が"発動できる"としたら?

かつ、其の異能は血液を毒へと

変化させられるなら?

目的は初めから有力な異能力者を無力化し、

戦力を削ぐことだった。

だから雇われた人間しかいなかったのだ。

すでに毒は皮膚から体内に進入している。

ぐにゃりと視界が歪んだ。姿勢を保てない。

「A!?」

『あはは…シュッパイ、した。

毒の男…まだ異能が…効いてる。』

「オイ、どういうことだ!?」

「元幹部の異能だよ。死んだ人間を操る異能。

間接的にこの殺し屋の異能を発動させたらしい。

…A、待てる?」

『暇だから先に帰ってるかも』

「この減らず口」

珍しく感情を滲ませた太宰の声がして、

私の意識は途絶えた。

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置いときもの(プロフ) - 黒木宙さん» コメント有難うございます!更新頑張りますのでお待ちくださいね!!体調に気を付けます!笑 (2017年7月17日 18時) (レス) id: 001e2135c2 (このIDを非表示/違反報告)
黒木宙(プロフ) - 何時も楽しみにしています!次が待ち遠しいです笑体調には気を付けて頑張ってください! (2017年7月17日 18時) (レス) id: 0545e227ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:置いときもの | 作者ホームページ:http://user.nosv.org/p/oitokimono/  
作成日時:2017年6月15日 23時

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