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#012 マフィアの黒-4 ページ14

Aside



…風?



嗚呼、たかが風だ。

異能を集中させていた前方からではなく、

背後から吹いた風は髪を掬う程度のものだった。

身体に激痛が走る。

流れる鮮血に目を見開いた。

『…血?』

風で怪我?

「こりゃ、おどろいた。大丈夫かい?A。」

『悲しいかな…まだ生きてる。』

遅れて発動した異能が硬いものを捉え、

粉砕した。

散らばった破片に目をやる。

纏った冷気、金属特有の光沢。

…刀だ。

異様に刃渡りの長い刀。

『異能か。』

顔を上げると、

逃げようとした兵士があちこちに"バラけた"

状態で散っているのが目に入った。

「なんて情けない部下だ…」

背が高く、薄着の女が薄く笑みを浮かべて

立っている。

「ち、中也より背が高いじゃないか!

Aもあれくらい背が高かったら…」

『「五月蝿い」』

低身長で悪かったなと二人して太宰を睨みつける。

『ッ…痛っ…』

平静を装うが、痛みは一向に治らない。

「治るか?」

中原が心配そうにこちらを見る。

『大丈…夫』

私の異能は治癒にも使える。

物質を無理矢理繋ぎ合わせるので、跡は残るが、

これくらいの傷ならば治らないこともない。

…直ぐには無理だが。

一人、

二人、…

と女の後ろに人影が現れる。

治癒と戦闘を同時にやるのは少々きつい。

「オイ、治らないのか?」

血が止まらない私の傷を見て、中原が言った。

傷は腎臓の辺りから肋骨の下まで長く開いている。

『性能が悪いの。ってか、働け太宰。』

「え〜〜。面倒くさいなぁ」

太宰が懐から何かを取り出し、栓を抜く。

それと同時にガスが噴いた。

致死性のガスだ。

『バ◯サン?』

「違う。」

『 アレはバル◯ンでしょ。

Gを殺すヤツにしか見えないんだけど。』

小さな容器から噴出する白い毒ガスはGokiburi

(学名、Blattodea)

を退治する時に見る其れにそっくりだ。

『嗚呼、このガス浴びたい。』

「君は無理だし、自 殺に私達を巻き込まないで

くれたまえよ。

君が異能を解いたら私達まで巻き添えだ。

兎も角、この帽子と死ぬのだけは御免だからね。」

太宰が呆れ声で言う。

「俺もお断りだ。」

『じゃあ、私の誕生日プレゼントは

バルサ◯にしてね?』

「それで死んだらゴ◯ブリと同じだよ?いいの?」

長い沈黙。

私は青ざめた顔で答えた。

『…やっぱりいい。』

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置いときもの(プロフ) - 黒木宙さん» コメント有難うございます!更新頑張りますのでお待ちくださいね!!体調に気を付けます!笑 (2017年7月17日 18時) (レス) id: 001e2135c2 (このIDを非表示/違反報告)
黒木宙(プロフ) - 何時も楽しみにしています!次が待ち遠しいです笑体調には気を付けて頑張ってください! (2017年7月17日 18時) (レス) id: 0545e227ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:置いときもの | 作者ホームページ:http://user.nosv.org/p/oitokimono/  
作成日時:2017年6月15日 23時

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