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#009 マフィアの黒-1 ページ11

Aside

「こんなところで集会ですか?」

何故こうなったのか、と太宰を見上げる。

『やっぱり、

こんな突入の仕方おかしいんじゃない?』

「今更だなァ」

反異能力者の太宰は中原の重力操作で身体を

浮かせることはできない。

しかし間接的になら、可能だ。

太宰は自身の服に吊り上げられるようにしてビルの

一番上の窓の外側からにゅっと顔を出していた。

彼らの声は私達には聞こえない。

だが、部屋の中に居た人間が

悲鳴をあげたことは明らかだ。

ビルの最上階で窓の外から声をかけられるなんて

経験はあまりできるものでは無い。

「此処からじゃ、奴のケツしか見えねぇな。」

中原がビルを見上げながら言う。

確かにビルから太宰の下半身が ニョキッと

生えているのがぼんやりと見えるだけで、

上半身は何をしているのかわからない。

「彼奴が何やってんのかさっぱりわからねぇ。

チッ…落としてやろうか。」

中原が苛立たしげに太宰を睨みつける。

それから五分程経っただろうか。

唐突に太宰が叫んだ。

「中也、降ろして!」

その言葉に舌打ちで返事をする中原。

「チッ…」

太宰はそのまま落下し、

地上1メートル程のところで一旦停止したかと思えば

再び落下。

「ふべッ…」

そして情けない音と共に顔から着地した。

太宰が立ち上がると同時に銃声が轟く。

遅れて大粒のガラスが落ちてきた。

…当たれば大惨事だ。

ーー当たれば、の話だが。

「奴さんこりゃ相当頭に来てんなァ」

ふわふわとガラスの破片を浮かせながら

中原が言う。

「もっとそっと降ろしてくれないかい?

痛いじゃないか…」

「次は落とす。」

不平をこぼしながら

ノロノロと立ち上がる太宰に私は声をかけた。

『なんて言ったの?』

「別に?お邪魔しますよ

って言ったら撃ってきた。」

酷いよねえ。と言いながら、先程落とされて、

地面と仲良くなった箇所を撫でる。

そりゃ、そうだろ。

「ともかく、許可は貰ったから入ろうよ。」

とビルを指差す。

『あの銃声が許可?』

すんなりと開いた自動扉の開閉音と

あーあ。という太宰の気の抜けたような声は

閃光と360度至る所から一斉に放たれた

弾の発砲音によって掻き消された。

「そりゃあ、そうか。」

しかし、弾丸が私達の身体に穴を開ける事は無く…

それらは私達から5メートル程離れた場所で

静止した。

私の許可無くこの範囲内に

踏み込める者は存在しない。

太宰を除いて。

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置いときもの(プロフ) - 黒木宙さん» コメント有難うございます!更新頑張りますのでお待ちくださいね!!体調に気を付けます!笑 (2017年7月17日 18時) (レス) id: 001e2135c2 (このIDを非表示/違反報告)
黒木宙(プロフ) - 何時も楽しみにしています!次が待ち遠しいです笑体調には気を付けて頑張ってください! (2017年7月17日 18時) (レス) id: 0545e227ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:置いときもの | 作者ホームページ:http://user.nosv.org/p/oitokimono/  
作成日時:2017年6月15日 23時

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