お手を取りましょう【瀬名泉】 ページ3
「…ッ！」
またやってしまった。怒られるかな。
そんな思いを巡らせながら少女は指先を見つめた。
つぷ、と赤い点ができ、そこからその点は大きくなる。
そこには、小さな小さな血溜まり。
彼に止められている、彼女のよくない癖。
飲み物を買いに行った彼はそろそろ帰ってくる。
ティッシュを探すため立つ彼女。
しかし、それはかなわなかった。
とさ…
優しく、元いた椅子に座らされる。同時に後ろから抱きしめられる。
あぁ、これは彼だ。
「瀬名先輩…。」
「飲み物、買ってきたよ。ついでだから勘違いしないでよねぇ。」
「…先輩、私の好きなの、憶えててくれたんですか？」
「たまたま。…ていうか、さっき立つときこけそうだったけど、気をつけな。」
そう煩わしそうに言いながらも、瀬名先輩が私を撫でてくれる手は優しい。
しかし急に手首を掴まれ、ほっこりとした雰囲気は無くなった。
「ちょっと、あんたまたやったの！？するなって言ったよねぇ？」
「…ごめんなさい。」
ばつが悪そうに顔を背ければ彼に手を取られる。
すると彼はかしずいてその血を舐めとる。
痛い。でもどこか幸せな気持ちになるのはこれが瀬名先輩だからなのだろう。
彼は口を離すと、ついばむようなキスを一つ落とした。
「…なぁに。もしかしてこれ好きなの？」
「…はい。ていうか瀬名先輩前に他人の血とかムリって言ってなかったですか？」
「馬鹿正直だねぇ、あんたは。あぁ、確かに言ったね。そんなこと。」
俯いて、考えてみる。
なんで私は平気なのだろうか。『愛してるから』なんて理由を考えたりしてはみたけれど彼がそんなことを言うわけがない。
しかし、そこへ回答するように彼が話した。
「…だって、あんたはオレのお嫁さんになるでしょ。だから他人じゃない。」
そんな風に言えば、彼はぷいっとそっぽを向いた。
それでも彼の赤くなった耳は隠せていない。
私も、赤くなる。言ってくれた。お嫁さんだって、瀬名先輩が。
「…はい、応えてくれてありがとうございます。…アナタ。」
「…別にぃ。」
幸せなひととき。
あぁ、先輩は優しい。ささくれひとつ剥いただけでこんなに心配してくれるんだもんね。
いつもそっけないけれど、優しくしてくれる。
…だから、これがわざとだったとしても、神様は許してくれるでしょう？
にやりと笑った彼女に、彼は気づかない。
彼女は愛しげに先ほど彼のなめてくれた自分の指を撫ぜた。
知らねぇよ、もう！【日々樹渉】→←sweet・lotus flower【蓮巳敬人】
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誘宵(プロフ) - すみません！リクエストいいですか？できたらでいいんですけど（おともだーちー）の続きが見たいです！ (2018年9月4日 18時) (
レス) id: 5537d07d79 (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - マイさん» リクエスト誠にありがとうございます。当方、伏見の小説をかいている途中なのでそのあとになりますが、よろしければかかせていただきます。 (2017年1月1日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
いーち(プロフ) - マイさん» はい、わかりました！ではその旨を伝えておきます。リクありがとうございました！ (2017年1月1日 21時) (レス) id: 11ee66640a (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - いーちさん» あ、ごめんなさい！そー言う意味か。作者様の名前ですね！えぇ〜そうですね！まめだいふくもち様でお願いします！！ (2017年1月1日 21時) (レス) id: dcde0ec6da (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - いーちさん» えーっと、とりあえず鉄虎君が出てきたらなんでもいいです！お願いします！ (2017年1月1日 21時) (レス) id: dcde0ec6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめだいふくもち/いーち x他1人 | 作者ホームページ：http://ない
作成日時：2016年8月12日 23時
