検索窓
今日:12 hit、昨日:8 hit、合計:134,098 hit

体育祭間近だお【仁兎なずな】___紫空様リクエスト ページ14

彼は丁寧に絆創膏を貼っていく。端から綺麗に、ゆっくりと。


「…よし、いいか。」


貼り終えた彼は、仕上げだとでもいうように、患部をなぞった。

その刺激に彼女は顔を顰め、小さく声を漏らした。



「あ、悪い!」

「いえ、大丈夫です。すみません、風邪なのに…。」

「別に風邪じゃないらろ。多分。熱も測ってないし。」



しかし、彼はいつもより更にかみかみになっている。

また、顔も赤いし、息も荒い。

これで熱がないなんてことだったら彼の体の機関そのものに問題があるのではないかと心配になる。



「とにかく、早く熱測った方がいいですよ。無理は禁物です。」



傷が外気にさらされなくなったことで、大分痛みの和らぎを感じた彼女は、今度は自分が、と活動しだす。

反対に彼は、ゆっくりと椅子に腰かけた。

彼の座る椅子の隣に、確か体温計なんかが置いてある棚があるはずだ。

そう思った彼女は早速彼の隣の棚を漁り始めた。

高い棚を探すのに、ずぼらで台を用意しなかったのがいけなかった。



「わ」



突然の傷の痛みを感じ、よろけた彼女。

その体が向かう先は



「え、え、え」

「わわー!」



…みし

そんな鈍い音が、したような、しなかったような。

彼女が目を開ければ、目の前には、自分よりも白い肌、綺麗な顔、仁兎なずな。



「…あ、あの」

「うわわー!ごめんなさい、どきます、どきまぁす!」



体育で立つときもこんなにぱっと立たない。

そんなスピードで素早く立つと、恥ずかしさのあまりに保健室から逃げ出してしまった。



ずるずると、壁によりかかる。

その冷たさが、体温を程よく下げてくれるような気がしたのだ。




「…はぁ。」



暑い吐息が漏れて、いまだに熱が引かないことを理解する。

先ほどのことを思い出しては赤くなり、また忘れては…を繰り返す。



「あんな顔、ずるい…。」



間近で見た彼は、綺麗で、自分なんかがふれてしまっていいのかと思うほどだったのだ。

何か、罪悪感を感じ、またうずくまった。










「……。」



顔が、近かった。

そんな事実に、いまだに彼は浸っていた。

自然と熱くなる体は、自分ではどうすることもできない。



肌の白さと相対的に目立つ、ぷるぷるで真っ赤な唇。



(多分、一歩遅ければキス、しちゃってたかも。)


自重しなくちゃなぁ。

そんなことを考えながら、次に彼女と会うことを楽しみにしている少年が、保健室で一人たたずんでいた。

わんこの受難【朔間零】___ベリー様リクエスト→←体育祭間近だお【仁兎なずな】___紫空様リクエスト



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (222 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
293人がお気に入り
設定タグ:あんスタ , 短編集 , あんさんぶるスターズ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

誘宵(プロフ) - すみません!リクエストいいですか?できたらでいいんですけど(おともだーちー)の続きが見たいです! (2018年9月4日 18時) (レス) id: 5537d07d79 (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - マイさん» リクエスト誠にありがとうございます。当方、伏見の小説をかいている途中なのでそのあとになりますが、よろしければかかせていただきます。 (2017年1月1日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
いーち(プロフ) - マイさん» はい、わかりました!ではその旨を伝えておきます。リクありがとうございました! (2017年1月1日 21時) (レス) id: 11ee66640a (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - いーちさん» あ、ごめんなさい!そー言う意味か。作者様の名前ですね!えぇ〜そうですね!まめだいふくもち様でお願いします!! (2017年1月1日 21時) (レス) id: dcde0ec6da (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - いーちさん» えーっと、とりあえず鉄虎君が出てきたらなんでもいいです!お願いします! (2017年1月1日 21時) (レス) id: dcde0ec6da (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まめだいふくもち/いーち x他1人 | 作者ホームページ:http://ない  
作成日時:2016年8月12日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。