ばす ページ10
．
バスに長い間揺られて、そろそろ車体の動きにやられてきた。手を喉に当てて、ぐいっと押す。胃のむかむかする感覚を物理的に無理やり抑えて、はあ、と息を吐き出す。
２人で片方ずつつけているイヤホン。そこから流れ出す私好みの曲たちは、これもまた私好みなタイミングでぽちぽちと切り替えられてゆく。
シャッフルされた曲が次々と飛ばされる中、今わたしがちょうどハマってる曲が出て、曲送りのボタンをタップするのをやめた。
久しぶりに降り着いた駅は思ったより衰退していて、無人券売機と自動販売機、あと駅長１人、ベンチだけで構成されている一室に少し驚く。
駅から出て少しバスを待つと、10分とそこらで目当てのバスは到着。タイミングが良かった。
そそくさと乗り込んで、急いでいたわたしは、酔いやすいにもかかわらず特に酔いやすい車体後部のタイヤの真上の席へと座ってしまったのだった。
「…大丈夫」
「吐きそう」
「吐かないでよ…」
．
定額運賃を払ってバスから降りる。大きく息を吸うと、懐かしい緑の香りが一気に肺を満たした。外の空気を吸ったからか、吐き気もだんだん治まってくる。もう一度深呼吸して、環くんの方を見た。
「…空気がおいしい」
私と同じようにした環くんは驚いたように呟く。私がむすっとした顔を向けると首を傾げられた。
「私の料理より？」
「…うん、まずいときのよりは」
「ひっど」
先週のチンアナゴリターンズが
五分袖の白いＴシャツの袖を２度折り返して、リュックサックを背負い直した。
７分くらい歩けば着くよ、なんて歩き出す。
山の奥から、少しだけ蝉の声が聞こえた。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 261人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩月 - 少し気になっただけなのですが、詩月、って知りませんか？Twitterで仲良くして貰っていた子も、のの、だったので。無視して頂いて大丈夫です。作品面白かったです。 失礼しました。 (2018年7月1日 15時) (
レス) id: 2f2bddb1c8 (このIDを非表示/違反報告)
木乃狐(プロフ) - ののさん» いえいえ、大丈夫ですよ！気にしないで下さい……！ 私が勝手にコメしてるだけなので……(笑) 作者様のご都合もあるでしょうし、 何時でも待っますので！！(笑) (2018年1月20日 21時) (レス) id: 80a40f84b1 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 木乃狐さん» 木乃狐さん、またコメントしてくれてありがとうございます！みなさんのお陰です、これからも頑張りますね！返信遅くなってしまい申し訳ありません。 (2018年1月20日 12時) (レス) id: d43f97ddad (このIDを非表示/違反報告)
木乃狐(プロフ) - 以前コメントさせていただいた者です……。 評価100超えおめでとうございます！ 凄いですね、流石です！ ……それだけいいに来ました……すみません！！ (2018年1月5日 7時) (レス) id: 80a40f84b1 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - ミルクココアさん» 1から読んでくださり、ありがとうございます！はい、更新頑張ります◎ (2017年11月11日 14時) (レス) id: 3242c5aeef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：のの | 作成日時：2017年10月1日 3時
