ねむり ページ8
．
ほっぺをぺしんと叩かれた痛みで目が覚めた。
すっかり開いた瞳孔に入ってきた光はあまりに眩しく、また目を瞑る。
何回か瞬きを繰り返し、ゆっくりと目を開けた。
「…おそい」
目の前にある環くんの整った顔にも驚かなくなってきたことに素直に感心。
ぼーっとした頭を無理やり回して、なんとか返事をする。
「？ 環くん、おはよう」
「おそよう」
あと４５分くらいで電車発車だよ、と環くんはため息混じりに言う。私はへえーと返して伸びをした。
ちなみに家から駅までの距離は徒歩で30分である。
「…えっ？？」
「言ったじゃん。ほら、早く」
「まって間に合わない！！！」
．
手土産は乗り換え途中の大きい駅で買うことにして、とりあえず電車に乗ることにした。
窓の外で流れていく景色をじいっと見つめていると、段々とビルの並びよりも緑が多くなってくる。
朝は結局、その後鬼の早さでおにぎりを作り(洒落ではない)、着替えとお金を鞄に詰めて全力疾走で駅に向かってきた。
切符を改札口に通す頃には２人とももうへとへとで、２人して切符挿入口にそれを突っ込むことすら上手くいかないぐらいになって戸惑った。
そこからこんなゆっくり揺れる電車に乗ったから、眠くなるのも仕方ない。ふああ、と欠伸をして、膝に乗せているかばんをぎゅっと握りしめた。
ふと気になって左を見れば、頭をこくりこくりと揺らしながらめをつむって眠りそうになっている環くんがいた。つい可愛くて、ふふ、と笑ってしまう。
私はそのまま、環くんの肩に頭を乗せた。ぴくりと肩が動いて、頭上からは「A？」と声が聞こえてくる。
「んーん、なんでも」
「そう」
環くんも私の頭に寄りかかってくる。ふわっとシャンプーの匂いがしてくすぐったい。
耳のあたりと肩のあたりに伝わってくる暖かさを包み込むかのように、睡魔が襲ってくる。
私はそれに逆らうこともできず、重い瞼をいとも簡単に下ろしてしまった。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 261人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩月 - 少し気になっただけなのですが、詩月、って知りませんか？Twitterで仲良くして貰っていた子も、のの、だったので。無視して頂いて大丈夫です。作品面白かったです。 失礼しました。 (2018年7月1日 15時) (
レス) id: 2f2bddb1c8 (このIDを非表示/違反報告)
木乃狐(プロフ) - ののさん» いえいえ、大丈夫ですよ！気にしないで下さい……！ 私が勝手にコメしてるだけなので……(笑) 作者様のご都合もあるでしょうし、 何時でも待っますので！！(笑) (2018年1月20日 21時) (レス) id: 80a40f84b1 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 木乃狐さん» 木乃狐さん、またコメントしてくれてありがとうございます！みなさんのお陰です、これからも頑張りますね！返信遅くなってしまい申し訳ありません。 (2018年1月20日 12時) (レス) id: d43f97ddad (このIDを非表示/違反報告)
木乃狐(プロフ) - 以前コメントさせていただいた者です……。 評価100超えおめでとうございます！ 凄いですね、流石です！ ……それだけいいに来ました……すみません！！ (2018年1月5日 7時) (レス) id: 80a40f84b1 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - ミルクココアさん» 1から読んでくださり、ありがとうございます！はい、更新頑張ります◎ (2017年11月11日 14時) (レス) id: 3242c5aeef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：のの | 作成日時：2017年10月1日 3時
