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episode 21:2回目 ページ22

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__数秒間の沈黙。耐え切れずに『なんか言うてほしい……』と羞恥のあまり手で顔を覆うと、「無理!」と一言。


無理ってなに、と思い、少しむすくれて指の間から侑くんの顔を見た。





『……顔、まっか』

侑「!? ううう、うっさいわ!見んな!」





自分から誘導尋問したくせに、自爆しとる?


頬杖をついたままそっぽを向いて、真っ赤な顔で う"〜と唸っている姿は見ていて少し可笑しい。





『侑くんて褒められ慣れてないの?いつも恥ずかしいこととか、かわええ〜とか平気で言うくせに、結構照れ屋さんやね』

侑「……そんなん、好きな子に褒められたら照れるに決まっとるやんけ」

『……えっ』





侑くんはじと、と私を見つめた。頬は赤くて、唇は尖っている。


吃驚して硬直してる私を、「なあ」と侑くんが呼んだ。





侑「まだ俺とは世界が違う、とか言う?」

『……急に、何で』

侑「急やない。振られた日からずうっと思ってたし」

『侑くん、顔、真っ赤ですよ……』

侑「うっさい、お互い様や」





さっきの映画の中であったどのシーンよりも、心臓がすごく早く動いている。ドキドキしすぎて、少しだけ痛い。





侑「……Aちゃん、」

『うん、』

侑「もう1回、告白してもええですか」

『うん……ふふ、ええですよ』





妙に律儀な侑くんに私はつい笑ってしまった。


頷いた私を見て軽く深呼吸した後、侑くんはしっかりと私のことを見据える。私も姿勢を直した。





侑「Aちゃんのことが好きです、俺と付き合うてくれませんか」





熱の篭った瞳と、少しだけ震えた声。カフェの照明のせいで金色の髪は透き通っていて、いつもより僅かに色素が薄く感じた。


__私は自分に自信が持てないし、きっと侑くんと付き合ってもすぐには変われないだろう。


それでも、そんな私でも侑くんが好きだと言ってくれるなら私はほんの少しずつでも変われる気がした。





『……こんな私でええなら、よろしくお願いします』





嬉しくて、つい笑みが浮かぶ。そんな私を見て、侑くんはギュッと唇を噛んだ後、ホッとしたように肩の力を抜いて「ほんまに……?」と呟いた。


それに数回頷いてみせると、侑くんはどこか泣きそうな顔をして心底嬉しいと言うように目を細めて微笑む。





侑「Aちゃんがええねん。……あかん、ちょお嬉しすぎて今すぐ抱きしめたいわ」

『こ、ここではあかんです』

侑「……ほなここでは我慢します」





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佐野 愛(プロフ) - 侑がピュアやぁぁぁ!!尊い!! (3月5日 21時) (レス) @page23 id: c62a8ec195 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - リア充共幸せになれよ!!!! (2021年4月6日 8時) (レス) id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
魚座(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉まで、。(T_T)もうあと数話で完結予定です〜!最後まで楽しんで頂けたら幸いです! (2021年4月4日 18時) (レス) id: 6a1de1dd31 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 更新待ってました! もう最高にキュンキュンします(;ω;) やっとくっついてくれて、またすきの記録読み返したいと思います(*^^*) (2021年4月4日 8時) (レス) id: 825fc18cb7 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 魚座さん» それは私も聞きたい、、(遠い目) (2021年3月19日 1時) (レス) id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:魚座 | 作成日時:2021年3月17日 18時

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