村田 「薬を飲め」 ページ40
リクエスト。
冨岡と村田が同期ってことは村田がAよりも年上の可能性があるということに気付いた。(遅い)
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お久しぶりの村田君である。うえーい。忘れ去られたころにやってくる村田君。
「俺の名前連発するのやめてもらえます? しかも何で君付け」
「ちょっと暇だなって思って」
「暇の潰し方!」
村田のそのツッコミを聞くのも久しぶりである──、元気にしていたかいと訊くと、「Aさんよりは元気にしてましたよ」と呆れられた。私? 現在利き腕の骨を折って療養中である。それでも雑魚鬼くらいは倒せるので任務に行っているが。
いやー、此処に来る時に怪我をしているのって初めてじゃないか? かなり怪我が多い人間だけれど、ちょうどよく怪我がない時期に此処に来ていたもんなぁ。
三角巾で吊るされた腕を動かそうとして、ちょっとそれを見つめてから左腕で瓶を取る(利き腕はあまり怪我しないので慣れない)。瓶の中には三錠の薬が入っていた。それをウーンと唸りながら見つめた。さて、どうしようか。
「村田飲んでくれない?」
「エッ、何で俺が」
「私前飲んだら『一生ああいうの飲むな』って言われたんだよね」
「えぇ……」
心底困り果てた顔になった村田は、私を見て、それから私の左手にある瓶を見つめた。何とも情けない顔だった。もうちょっとシッカリしろよ、と言いたくなる……、そういえばコイツって私より年上だっけ? 年下だっけ?
関係ねえか。どっちにしろ私、コイツより強いし。
村田は錠剤を手に出して悩んでいたようだが、うだうだとしているのにとうとうキレた私が無理矢理手を口に引っ張って飲ませた。水もないから思い切りむせて、危うく薬を吐き出す処だったのをすんでで飲み込む。
「……なんか…………」
「あ? 大丈夫か? 言ってみろ」
「いつもよりAさんが美人に見える……」
「普段からだよバカ野郎」
いつもの調子で軽口を返せている。これなら大丈夫か、と出現した扉に向かった。「はやく出ろよ」と言いかけたが、ぐいと、引っ張られる。完全に油断していた処だったのでコケるかと思ったが、代わりにぽすりと村田に受け止められた。
上を見る。高温の熱がこもっているように思えた──しばらくして、「いや」と村田が口を開く。
「割と、ギリギリで……、すみません。早く出ましょう」
「お……、おう」
「でももしお前が襲って来てもカウンターできるけどな」と言えば、「いつか強くなってみせますよ」と笑われた。その日を楽しみにしているのは、きっと私の方だろう。
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なずな - 心臓が1億個ぐらいあってもたりませんでした!!助けてください!!(?) (3月29日 12時) (レス) @page50 id: f22ade9e4c (このIDを非表示/違反報告)
真白 - とても、面白かったです! (2023年1月27日 1時) (レス) @page50 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 一気読みしてたら、もう夜になってた⁉ (2023年1月27日 1時) (レス) @page50 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯殿 - 面白い続きが観たい… (2022年12月12日 10時) (レス) @page50 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
nori(プロフ) - 作者様の話好きすぎる…✨一気読みしちゃいました笑今更ですがお疲れ様です!作者様の作品これからいっぱい見てみようと思います!!! (2022年8月27日 21時) (レス) @page50 id: 415de435f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2021年1月9日 17時