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 槇寿郎さんはわかるかわからないかぐらいに顔を顰める。「……アイツには手を焼いた」と、その一言だけで二人の関係性を何となく察してしまった。ああ、苦労されているんだな。自分のことのように申し訳ないが、既に死んでしまっている人物に対して文句を言ってもしょうがない。


「……死んだヤツのことはどうでもいい」と吐き捨てる槇寿郎さんに、全くです、と頷いた。死んだ人間のことをいつまでも考えていては、生きることもままならないだろう──それを私が言うのか、という話だが。



「『人生とは』──そんなもの、決まっている。人生とは生まれながらに優劣が決定していて、敗者は勝者の足元すら拝めない。そういうものだ。ただの博打に過ぎん」

「博打──ああ、博打。面白いこと言うんですね」

「なに?」

「えっ」



 あ、いや、普通に相槌として言っただけなのだが──どうやら今度こそ地雷の近くに行ってしまったらしく、槇寿郎さんの眉がぐっと寄せられた。う、とたじろいでしまう。……何せ槇寿郎さんの顔、煉獄さんにソックリなのである。

 煉獄さんには元々強く出られないし、ほとんど同じ顔の槇寿郎さんにもそんな表情をされると非常に困る。いや、本来なら槇寿郎さんの顔に煉獄さんが似ているという話なのだろうが……、どうしても先んじて煉獄さんの方を思い浮かべてしまうな、これは。



「ならばお前はどうだ」

「はい? えぇ……、私、ですか」

「お前以外に誰がいる? それに脱出条件は『語らえ』だろう。俺だけが言ってどうする」

「ハイスンマセン……」



 さすが元柱だ。師匠もそうだったが、例え職を引退したとしても威圧感はそのまま残るらしい。目に見えて不機嫌になられると、これ平隊士だったら一たまりもないんじゃないか。




「うーん、そりゃあ、槇寿郎さんの意見もごもっともだと思うんですが──それだったら、環境に恵まれていた人間が没落したり、私みたいな存在がいることが説明できませんよね」

「は?」

「孤児なんです。親も兄弟もいません。環境なんて、今が天国に思えるくらいでしたよ──どれだけキツくても、生きてられるだけマシだって思ってしまうぐらいに」




 そこから一番に救い出して来てくれたのが、煉獄さんなのだ。

 師匠が背中を押してくれた。けれど、一番最初だったのが、煉獄さんだ。煉獄さんが欠けていたら、きっと私は私ではなかったと思うし、生きていたかどうかも疑わしい。






「──人生とは」


「良い人世かどうかによって決定される」





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村田 「薬を飲め」→←煉獄槇寿郎 「語らえ」



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なずな - 心臓が1億個ぐらいあってもたりませんでした!!助けてください!!(?) (3月29日 12時) (レス) @page50 id: f22ade9e4c (このIDを非表示/違反報告)
真白 - とても、面白かったです! (2023年1月27日 1時) (レス) @page50 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 一気読みしてたら、もう夜になってた⁉ (2023年1月27日 1時) (レス) @page50 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯殿 - 面白い続きが観たい… (2022年12月12日 10時) (レス) @page50 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
nori(プロフ) - 作者様の話好きすぎる…✨一気読みしちゃいました笑今更ですがお疲れ様です!作者様の作品これからいっぱい見てみようと思います!!! (2022年8月27日 21時) (レス) @page50 id: 415de435f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/  
作成日時:2021年1月9日 17時

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