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いや、大体予想は付いていたことだが……、玄弥の肩を押して離れると、ようやくそれで1カウント扱いになった。
「口を付けて、離す──それだけですか」
「それだけって。言うねえ玄弥」
「あ、いや! そういう意味じゃなくて、」
呼応しただけというようなセリフに、流石の私も苦笑いする。玄弥は真っ赤な顔でわたわたと顔の前で両手を振り、他意はないことを示した。そんなことしなくってもわかってるっての、ちょっと
どうやら今期の子たちは正直者が多いようである。……私? 同期の顔なんざ覚えてねーよ。どれだけ死んでいったと思ってやがる。生き残った数は、多かったんだけどなあ。いつか師匠が言っていた、たった一人以外全員が生き残ったっていう伝説には届かねえけど。
「じゃあ、失礼……、します」
「おう。そんなに赤くなるなよ」
こっちまで照れちまうぜ、と軽口を叩いた。玄弥は毒気が抜かれたように肩の力を落とし、へらっと笑う。あ〜〜〜可愛いなコイツ、ホントマジで可愛いな。不死川は頭おかしいんじゃねえかいやおかしいことは知っているが。こんな可愛い弟を突き放すっていう神経が信じられねえな。
玄弥は私の真正面で腰を浮かせ、私のことを引き寄せると言うよりは自分から近づいてきた。ちゅっと本当に一瞬だけ触れてから離れるのに、慣れていないんだなと感じる。そりゃあ慣れていないのが当然だった。
刻む感覚がかなり速い。そのせいで呼吸をいつするかのタイミングが私と玄弥でズレる。──あ、まずい。いや、何がと言うワケではないがまずい。
「ちょ、……ちょっと、いったん、休憩」
「──Aさん」
「あ? あ、いや、ん?」
「もうちょっと」
「ハ?」
何を言ってるんだとポカンとした。しかし玄弥は私が自分の顔を隠すための手を取り、「もう少し」と言いながら口付けする。バードキスのような軽いものだとはいえ、そう何度もやられると唇に違和感ができ始める。しかも段々長くなっていってないか。
「もっと」
「……ッ、」
赤らんだ顔で続きを請求する玄弥の声を聞き、背筋にゾッとしたものが走った。これはイカン、と押し倒される直前のような中途半端な状態で玄弥に蹴りを放つ。まだまだだな、コレが柱だったら今のは完全に防がれてたぞ。
玄弥は「……蹴る必要ありました……?」と自分が襲いかけたことを反省しながらも、私に常識を求めた。鬼殺隊の人間に常識を求める方が間違ってんだろ。
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なずな - 心臓が1億個ぐらいあってもたりませんでした!!助けてください!!(?) (3月29日 12時) (レス) @page50 id: f22ade9e4c (このIDを非表示/違反報告)
真白 - とても、面白かったです! (2023年1月27日 1時) (レス) @page50 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 一気読みしてたら、もう夜になってた⁉ (2023年1月27日 1時) (レス) @page50 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯殿 - 面白い続きが観たい… (2022年12月12日 10時) (レス) @page50 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
nori(プロフ) - 作者様の話好きすぎる…✨一気読みしちゃいました笑今更ですがお疲れ様です!作者様の作品これからいっぱい見てみようと思います!!! (2022年8月27日 21時) (レス) @page50 id: 415de435f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2021年1月9日 17時