伊黒小芭内 「耳を責めろ」 ページ30
リクエスト。
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よりにもよって伊黒とそんなお題で閉じ込めてくるとは。中々のことをしてくれるぜ。
まあ、流石に私も一度(昔のものを含めれば二度)やっちまって懲りている。やっちまった内容を知らない? あー、ありゃあほとんど私が悪かったから知らなくて良いだろ。『無知は罪』ってのを体現してしまっていた。一応気遣える人物なんだよ私は。
伊黒はやられたくないだろうが、私もやられっぱなしというのはかなり気に障る。なので「私がやろうか?」と声を掛けてみたが「絶対にやめろ」と即答された。お前散々唸ってたじゃねえかと指摘すると、鏑丸から威嚇される。仲の良い主従だな。
「どうすんだよ」
「────」
無視だ。おい、そりゃねえんじゃねえの、と頭をガシガシかく。自分が普段より棘があるのもわかっている。
──むしろ普通でいられるか? 一年以上も喧嘩を持ち越しているのだ。それはもはや喧嘩と呼べるのかというレベルであるが、これに名前がなくなると更に心の中がしっちゃかめっちゃかになりそうなのでやはり『喧嘩』という体でいこうと思う。
どうすっかな、と首を捻る。私だってやられるのは嫌だ。それこそ死んでも──と言いたい処だが、流石にそこまでではないし。更に言えばこの状態での肉弾戦だったなら私が勝つ。勝つからこそ、対応に困っているのだ。まさかこれ以上の関係の悪化があるとは思わなかった。それくらいに酷いものなのに。
「……あっちを向け」
「あ? おー」
くるり、と半回転して壁を見つめる。これが木の設計だったら木目を数えて暇を潰せただろうが──と考えた処で、不意に頭に擦れた白い布があった。視界を覆ってしまいそうなそれに、反射とはいえ伊黒の手を叩き落としてしまう。
何をするんだと後ろを振り向こうとして、ギリギリで止まった。今のは白い布じゃなくて、包帯だ。伊黒の口元の包帯、つまり今伊黒は包帯をしていないということになる。
「あくまで保険だ」
「いや、ちょ……っ」
此方がこれ以上動けないのを良いことに、伊黒は先程と同じようにしてぐるりと包帯を巻きつかせる。
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なずな - 心臓が1億個ぐらいあってもたりませんでした!!助けてください!!(?) (3月29日 12時) (レス) @page50 id: f22ade9e4c (このIDを非表示/違反報告)
真白 - とても、面白かったです! (2023年1月27日 1時) (レス) @page50 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 一気読みしてたら、もう夜になってた⁉ (2023年1月27日 1時) (レス) @page50 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯殿 - 面白い続きが観たい… (2022年12月12日 10時) (レス) @page50 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
nori(プロフ) - 作者様の話好きすぎる…✨一気読みしちゃいました笑今更ですがお疲れ様です!作者様の作品これからいっぱい見てみようと思います!!! (2022年8月27日 21時) (レス) @page50 id: 415de435f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2021年1月9日 17時