不死川実弥 「撫でろ」 ページ25
リクエスト。
アニメじゃ硬そうだったなあ。
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おお、二回目。
不死川の方を見ると、「またか」みたいな顔でお題を眺めていた。自分のことを私が見ていることに気付くと、何かを言いたげにちょっと眉根を寄せて、それから苦笑した。不死川の表情の変化は、とても緩やかだ。彼のことを怒らせる要因がない場合に限るが。
そういう時の、落ち着いた彼の表情が好きである。元々それほど恐ろしい顔ではないと思う──スマン今のはちょっと嘘吐いた。確かに凶悪面であることは間違いない。無数の傷跡が無くたって大して変わらないだろう。
「さて、じゃあ今度は私が」
「……あァ? お前が?」
「ンだよ、文句あんのかよー」
子供のように唇を尖らせて拗ねると、不死川は頭をかいた。白い髪がふわふわと動く。正直、前から撫でたいとは思っていたのだ。普段から私が撫でられることは多くあれど、私が撫でる方は全くと言っていいほどない。
というかそもそも身長が足りない。向こうは私の頭がちょうどいい感じの位置にあるから撫でやすいのだろうが、私からしたら腕を上に伸ばさなきゃいけないのだ。「つい」とか全くもって言い訳にならないので割と恥ずかしい。
しかし今はきちんとお題で示されている。要するに合法である(別に違法ということでもないのだが)。さあ撫でてやろう! この私が直々に!
「キャラ変してんじゃねェよ……」
「ちょっと撫でにくい、もう少し屈んでくださる」
「二度と喋れなくしてやろうかァテメェ」
ギリギリと頭を鷲掴みにされて「ぎゃー!」と悲鳴を上げる。柱連中は割と容赦がない。私に対して一番手加減しない男が不死川実弥、一番情けのない女が胡蝶しのぶである。
煉獄さんはとても甘いが優しくはない。あの人の稽古を一度受けると良いだろう。一時間後には君も立派に筋肉痛だ。
「わあ」
「────」
頭の中でごちゃごちゃと言ってはいたが、私は既に不死川の髪に触れていた。感嘆とも言えぬ声を上げると、居心地が悪そうに彼は目を逸らす。普段もこうであったなら、と思うくらいには可愛いヤツである。
よしよしよし、とまるで犬猫にでも触るかのようにわしゃわしゃと撫でてやると、「バカ野郎ォ」と手を叩かれた。猫だな。
「撫でられるのって嬉しいでしょー」
「何言ってやがんだァ」
「私もいつも、同じ気持ちなんだよ」
不死川は少し足を止めたかと思うと、また歩き出した。
「バカ野郎ォが」
そっくりそのままお返しするぜ。
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なずな - 心臓が1億個ぐらいあってもたりませんでした!!助けてください!!(?) (3月29日 12時) (レス) @page50 id: f22ade9e4c (このIDを非表示/違反報告)
真白 - とても、面白かったです! (2023年1月27日 1時) (レス) @page50 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 一気読みしてたら、もう夜になってた⁉ (2023年1月27日 1時) (レス) @page50 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯殿 - 面白い続きが観たい… (2022年12月12日 10時) (レス) @page50 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
nori(プロフ) - 作者様の話好きすぎる…✨一気読みしちゃいました笑今更ですがお疲れ様です!作者様の作品これからいっぱい見てみようと思います!!! (2022年8月27日 21時) (レス) @page50 id: 415de435f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2021年1月9日 17時