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最初は少し笑いながら会話していた私達だったが、瓶の中身がようやく半分を切った頃には二人とも無言になっていた。次の薬を取る速度が明らかに落ち、私なんて少しでもペースを遅らせようなんて考えてガリガリ薬を噛んでいる。よい子は真似しちゃ駄目だぞ。
いや、しかし、私だけじゃなく煉獄さんまで何も話さないということは私の辛さがわかるのでは？ これ地味にキツイよ。頭ぼーっとしてくる……、本当。
五個一気にとかバカだったかもしれない。そう考えながら一つを手に取ろうとして、煉獄さんと指が触れあった。二人共静電気でも発生したかのように大袈裟なほど手を引っ込め、気まずい時間が流れる。
……どうぞ、と私が言った。煉獄さんも大声を出す気力などないのか、「ああ」と非情に短く返事をする。ただし二つ一気に取った。スゲー。腹ん中、むしろ水でいっぱいなんだけど……、普通の食べ物とかで腹いっぱいならまだしもさあ。
煉獄さんがまたコップの中の水を全て呷ると、視覚に入っていなかった死角にコップが出現する。
──これ以上、煉獄さんに無理はさせない方が良いのでは？
だって、あの人私よりペースが速いから、確実に私以上に飲んでるだろう。それなのに私がこれだけ辛いのだから、煉獄さんなんてもっと辛いじゃないか。恩人に──、そんなことさせる訳には。いかない。
「……、…………っ」
う、わ、駄目だ。真面目に何も考えられなくなってきた。思考速度の低下なんてもんじゃない、ほぼ無いも同然だ。
体の重心がうまく保てない。やべえ──やべえ。頭ぐらぐらする。意識だけじゃない、体の能力も格段に下がっているのだ。手を突いて壁際に寄ろうとする。逃げる訳じゃなかった。いったん休憩させて欲しかっただけで。
「何処へ行く」
だが、煉獄さんが私の手首を掴んでそれを引き留めた──思わず、え、と口に出た。こんな狭い部屋で、行く処などあおるはずもない。ただ煉獄さんの目に、いつもの余裕が全く感じられなくて。端的にすれば、ビビった、と言っても良い。
「ご、めんなさ」と考えるより先に謝罪を口にする。煉獄さんが掴んだ手の部分から、熱がじわりじわりと広がって来ていた。ぐらぐらじゃなくて、くらくらするような熱だ。
煉獄さんは変な顔で、「謝るな」と言う。困っている、ようだった。自分の中にあるものを持て余しているように。
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なずな - 心臓が1億個ぐらいあってもたりませんでした！！助けてください！！（？） (3月29日 12時) (
レス) @page50 id: f22ade9e4c (このIDを非表示/違反報告)
真白 - とても、面白かったです！ (2023年1月27日 1時) (レス) @page50 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 一気読みしてたら、もう夜になってた⁉ (2023年1月27日 1時) (レス) @page50 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯殿 - 面白い続きが観たい… (2022年12月12日 10時) (レス) @page50 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
nori(プロフ) - 作者様の話好きすぎる…✨一気読みしちゃいました笑今更ですがお疲れ様です！作者様の作品これからいっぱい見てみようと思います！！！ (2022年8月27日 21時) (レス) @page50 id: 415de435f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白夜の世界
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時：2021年1月9日 17時
