【鬼滅の刃】おい待て落ち着け。【○○しないと出られない部屋】

我妻善逸、時透無一郎　「イチャつけ」 ページ37

リクエスト。


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「イチャ……イチャつけ？ え、二人居ますけど？」



思わず誰かに聞くような言葉になってしまったのは致し方無いが、まさかそれに返答が返って来るとは思わなかった。

ひらりと一枚舞い降りてきた紙。



「【二人同時にです】。……阿保かァ！！」

「えーっマジで!? 合法!? 大丈夫だよねコレ訴えられたりしないよね!? ヨッシャァ──ッ！」

「何喜んでんだお前コラァ！！」

「うるさい」

「「すみません」」



鶴の一声ならぬ時透君の一声。威力ありすぎィ……というか感情籠ってなさ過ぎて逆にめっちゃ怒ってるみたいになっとる……。

などと脳内で散々現実逃避しても世界は無情だった。世界っつうか時透君が無情だった。



「イチャつく、の定義二人は分かる？」

「えぇ……改まって言われると」「分かんないです……」



私と善逸は顔を見合わせて、苦笑いする。

確かに今回のお題はかなりあやふやだ。具体的な行動が示されていない為、恐らくいつもより脱出に手間取るだろう。



「とにかく、例えばでいいから。如何すればいいのか言ってみて」

「……キスとか？」
「抱き着くとか」
「そんな感じの」



と上司を前にわざわざイチャつくの定義を説明しなければならない私達の心情。

いや結構キツイ。何だこれ。


もごもごと説明する私達を見て、時透君は「ふーん」と言った。そして何故か私の隊服をぐいっと引っ張り、自分へと近づけた。

ちゅっと、頬に湿った感覚が残った。



「……はい？ えっちょ、え？ え？ 嘘だろオイ」

「っうあ!? とっ、時透君っ!?」

「何慌ててるの。こうしなきゃ出れないんだから」



飽くまでも理性的に状況を分析する時透君に私は顔を真っ赤にして、意味のない単語を発音するしかできなかった。

年下の癖に何だこいつ……！



「……っじゃあ！ 紙にも書いてありましたし俺もやった方が！！」

「うん、じゃあ、抱き着いて」

「わああー！ 待って善逸考えなお」



時透君の許可が出た瞬間に善逸は私に雷鳴の如き速さで抱き着き、私はあまりの勢いに倒れた。

痛みに顔をヒクつかせる。いや大して痛くはなかったがムカついた。


が。



「痛ッ」



首に痛みが走る。

何だ？



「ちょっとした印ですよ」

「ああ？」



何だそれ、と顔を顰める私とは真逆に、善逸はふふ、と恍惚とした表情で笑った。何かキモかったので頬を張ったら「流石に理不尽！！」と叫ばれた。


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