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「ちょっと待てよ冨岡ッ!!」
「待たない」
冨岡は私に馬乗りになり、両手を頭上で床に強く押し付ける。
痛みと圧迫感により顔が歪んだ。抵抗も何の意味も為さない。
「お前が俺を怒らせたのが悪い」
「悪かった、謝るか、ひっ!?」
ふぅっと、耳に、吐息、生暖かい、ぞわって、直撃、変な声出た、耳に、
──こいつやりやがった!!
脳内がバグったゲーム画面のように点滅する。言葉の羅列が喉奥に引っかかって何も出て来ない。
「しばらく大人しくしていろ」
「てめっ、マジで許さ、ッ〜〜〜!!」
冨岡をあらん限りに罵ろうとするものの、一瞬でも気が抜けたら声が出そうになる。必死に唇を結び耐えるが、僅かに声が漏れ出る。
訳の解らない感覚に体は震え、脳はショート、変な声は出るし、何か涙も出てきてもうぐちゃぐちゃだった。頭ん中が完全に終わっていた。
暖かい吐息、密着した体。はむ、と耳を甘噛みされてもう何か死にそうになった。熟れ過ぎたトマトみたいになった。濡れた耳が凄く熱をもっていたのは自分でも判った。
何が言いたいかって冨岡ぶっ殺してやるってことだよ。
「は、ァ、っおい、」
「……開いたか」
開いたか。じゃねーんだよ!!!!(キレ)
心の中で絶叫した私を知ってか知らずか、冨岡は今まで掴んでいた私の腕を離して立ち上がった。私は速攻でヤツから距離を取った。
というか腕痛い……アイツかなり本気で掴んでやがったな……。
「……痛むか」
「当たり前だろ。お前自分が柱だって理解してる?」
「一応、は」
何故か一瞬言い淀んだ冨岡は再度私の手を取った。
「っ離、」
またやられると思った私は反射的に口を開いた。
だが冨岡は私の手を優しく握り、指を絡めた。それだけだった。表情を伺っても相変わらずの無表情である。私はまだ、顔の熱も治まってないのに。
何だか少しムカついたが、私は冨岡に手を握られたまま、外へ出て行った。
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大正コソコソ噂話。
冨岡さんは今回ちょっとやり過ぎたと思ってるよ。ちなみに怒った理由は……内緒だよ! 頑張って察してね!
冨岡さんはAちゃんのことを恋愛対象としてもたまに見るけど基本ツンデレの妹だと思ってることだけ教えるよ。
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竈門炭治郎 「相手の良い処を十言え」→←冨岡義勇 「耳を責めろ」
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廣岡唯 - しのぶさああああああああああああああああああんと蜜璃ちゃんああああああああ (2022年11月30日 9時) (レス) @page18 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
利音 - 嘘つきピエロさん» 走れメロンだよ (2021年9月22日 15時) (レス) @page28 id: a5ff14c25a (このIDを非表示/違反報告)
玄武 - んん” か”っこ”い”い” (2021年7月3日 22時) (レス) id: be050932d4 (このIDを非表示/違反報告)
嘘つきピエロ - 伊黒さんの「死ぬ気で闘え」の序盤の2文って走れメロスでしょうか……? (2021年1月21日 15時) (レス) id: f059c2a2b0 (このIDを非表示/違反報告)
nao0824hito(プロフ) - 不死川さんと冨岡さん私も好きです。 (2021年1月1日 0時) (レス) id: 04378a0bcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2019年12月26日 16時