フィッティング ページ15
冬木「そんなに心配しなくても七瀬くんなら一人で大丈夫よ。」
文化祭委員長としての責務をほっぽって来て大丈夫かと心配していれば顔に出ていたのか隣に座っている冬木さんがそう言った。
こちら側に三人、向かい側に三人座ったこの車は静かなおとで住宅地を、街を抜けて行く。
うちの高校では、ミス&ミスターコンの内容を前々から伝えておくととてつもなくお金をかける組みが現れるので、いつもテーマは前日のお昼前に発表されるのである。
もちろん、それでも行動力旺盛な後ろ盾のある女子は、代表者を完璧に着飾るのだけど。
話によると、私はとりあえずドレスのフィッティングに行き、他の人たちはメイク道具やらアクセサリーを調達しに行くらしい。
着付けはすでに皐月さんに連絡が入っているらしく、ついさっきトークアプリでサムズアップしている猫のスタンプが送られて来た。諦めてください、と副静音が聞こえた気がした。
冬木「ついたわよ。
私の叔母様が経営してるウェディングドレスの店なの。」
いかにも高級そうな看板がかかった高層ビルの上のほうにある店に入る。
静かなジャズがかかっている店内は、シャンデリアできらびやかでありつつも控えめな照明となっている。
冬木「及川くんから白のドレスはNG出てるから…そうね、はっきりとした色のドレスにしましょう。
寒色系と黒、ボルドーや赤のドレスを持って来て頂戴。形はそうねぇ…」
生き生きとし出した冬木さんをぼーっと眺めながら私は思考の沼にはまって行く。
うちのクラスってこんなに団結力あったんだなぁ、なんて思いながら、運ばれて来た大量のドレスに若干白目を向くのであった。
ーーーーーー
冬木「悩むわ…
どの3着にしようかしら」
1着に決めるのならばまだしも、3着に決めるのにもこれだけ時間がかかるのだ。
このミスコンが3日あってもしかしたら逆に良かったのかも、なんて思考がバグる。
及川「遅くなってごめんー」
遠くでドアの開閉音と共に徹の声が聞こえてくる。
急かされたのか少し声が上ずっているようだ。
控えめなノックが3回聞こえて、私が返事をすれば彼が入ってくる。
及川「A、すごく綺麗」
柔らかく微笑んだ徹を見て、私の隣に立つ冬木さんは満足そうに、当たり前よ、と笑った。
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あやにゃん(プロフ) - hatajimamomokaさん» momokaさん、コメントありがとうございます♪ 若干話が迷走してはおりますが、最後までお付き合い願えたら光栄です( *´艸`) (2020年3月7日 19時) (レス) id: 64c80b7f49 (このIDを非表示/違反報告)
hatajimamomoka(プロフ) - このお話めっちゃ好きです!更新頑張ってください! (2020年3月7日 16時) (レス) id: 366eb10de3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2019年11月23日 22時