お風呂 ページ35
黒尾「あぁ、そっか赤葦の家そういえばめんどくさいって言ってたけどそういうことか。」
赤葦姓で思い当たる節があるらしい黒尾は頷いた。
無性に喉がカラカラしてきた気がして、２Lペットボトルの水をコップに注いで一気に飲み干した。
しんとした食堂。
聞こえてくるのは入り口の上にかかっている時計の秒針が動く音と、遠くから聞こえてくる足音に笑い声。
…そろそろ部屋に戻って静かにするように言わなきゃいけないだろうか。
そう思っていても、立つのが億劫になる。
菅原「おーい。
なーに主将３人でしんみりしてるんだよ」
スガが暖簾から頭を出してそういった。
中途半端にそこに立ってないで入ってこいよ…
黒尾「木兎がおたくの月島くんにスパイク止められてしょんぼりしてんだよ。」
誤魔化すように黒尾は何時ものからかい調でそういった。
ケラケラと指差して笑うと、噛みつくように木兎は詰め寄る。
木兎「べっつに、２回止められたのも１日練習して疲れて威力が落ちてたからですう！」
黒尾「なら明日の試合が楽しみだなぁ…何発止められるか賭けようか？」
ギャーギャーと騒ぎ出した二人を軽く締めて俺は一旦部屋に戻る。
どうやらお風呂に行くのに俺を探していたらしい。
赤葦達が入りにいってもうそろそろ３０分は過ぎたか…
菅原「で、本当のところは何してたべ？」
澤村「んーちょっと篠原が体調崩してな。」
菅原「あぁ、及川んとこの」
それだけではないとわかっているだろうにスガはそっか、と言ってそれ以上は聞き出そうとはしなかった。
又聞きしたことを他人に言うのは気が引けたから、こうやって察してくれて俺としてはとてもありがたい。いい副主将を持ったもんだ…
着替えとタオルを袋に入れて日向月島とともに浴場の方に向かう。
途中で木兎と黒尾が追いついてきて６人で渡り廊下を歩く。
外はもう真っ暗で、街灯に大きな虫が寄ってきていて俺ですら少し嫌だ。旭なら完全に叫び出していただろうなぁ…
菅原「あれ、篠原と赤葦。」
指をさした方向には手を繋ぐ二人がこちらへ向かってくる。
仲良いなぁと思いながら大きく二人に手を振った。
赤葦は軽く振り返すと同時に手を離す。
…ふとした違和感を俺はお風呂に入った瞬間に忘れてしまった。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年4月16日 0時
