赤葦家本邸 ページ41
ー自分視点ー
結論から言うと、犯人は所謂身代金誘拐犯、と言うやつらしく身代金の要求の電話の際にあっけなく逆探知され、交渉役は捕まった。
その後口を割った交渉役の情報によって私は救出されたのであった。
初動が早かったためスムーズにいった…とはいえども、どうやら私は計5時間弱も車で走り回されていたらしく、東京にいた。
犯人は篠原の家のことしか頭になかったのか、近くにはお母さんの家、赤葦家本邸もあったため…
こう言ってはなんだが、マヌケ極まりない終わり方だ。
母「無事でよかった!A」
目を真っ赤に泣きはらしたお母さんが黒いスーツの男達に囲まれて出てきた私に腕をさしのばす。
どこか冷静だった私は、泣くお母さんの背に腕を回して抱きしめる。
優しい匂いと暖かい声が私を溶かす様で…音もなく次々と涙が流れてきた。
『…お…かぁさ…んっ』
嗚咽まじりに呼ぶと回された腕の力が強まった。
ーーーーーー
もう18時過ぎだったため、赤葦の家に止まることとなった。
埃っぽい部屋にずっと閉じ込められていた私は気管支を再びやられていて、安静にしていろとのお達しがでた。
パニックを起こして泣き出していたりでもしたら今頃窒息死でもしていただろうか…なんて考えると恐ろしくなってくる。
これからはキーホルダーではなくペンダントにでもして肌身離さず薬は持ち歩かなきゃなぁ…
所謂日本家屋の赤葦家本邸は東京にある。
ここもまた、お屋敷街に立つ大きな屋敷で、歴史を聞けば数百年前から始まりそうな趣である。
私は疑問を持つべきだった。
確かに、祖父母にあったことなんて小さい頃、それも私のあの家でしかない。
たまにデパートや旅行には一緒にいったかもしれないが、それでも両親の実家に遊びに行く、といったことは今までなかった。
夏休み後の小学生の時の話といえばおばあちゃんの家に行った、などと言うものだったが、私達幼馴染組はそういった話はなかったな…
少し甘い独特の香りの畳の部屋。
敷かれた布団はぴんと伸ばされていて、どこかの旅館にいる様な気分になる。
用意されていたワンピースに袖を通して着ていた物をたたんで隅の方に置いた。
少ししてやってきたお手伝いさんらしき薄い着物の女性に髪の毛を手早く整えられ、食事のためにダイニングへと連れて行かれた。
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あやにゃん(プロフ) - 紅葉さん» 一章と二章、どちらにもコメントくださって嬉しいです!(皐月さんは私の好みモロ出しにしてみました笑) そうですね、今作品のテーマは世界観や視点が変えられること、そして変えざるを得ないことでして…(でもやっぱり表現が少し大袈裟なので文章力が欲しいものです笑) (2020年6月2日 16時) (レス) id: 41b9de9ad7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - が、頑張れ篠原ちゃん……(その一言に尽きる)。皐月さんが好きです笑!世界観がどんどん広がっていくのがわかって楽しいです。 (2020年6月2日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2018年8月19日 8時