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二人 ページ15

右手薬指の指輪の存在を感じながら、挨拶回りを両親と行う。
どうやら牛島さんと話し終えたことを見ていた両親は私を連れ戻しに来たのだ。


『お初にお目にかかります。
Aと申します』

テレビで見たことがあるような役員さん。

芸能界にあまり興味がない私ですら知っているモデルさんや資産家の人。

どこどこの社長さんやら。


何度自己紹介をせねばならないのかと考えながら私は安心感を得るように右の指輪を触る。

「美しい娘さんだ。
うちの芸能事務所でモデルとして売り出せばすぐ人気になるでしょう。」


お世辞だかよくわからない言葉を投げ変えられて苦笑いを浮かべる。

香水、人、お酒、食べ物、感情…ありとあらゆる匂いが混じり合ってむせ返りそうだ。


父「すみませんね後藤さん、娘は少し人見知りで。」

まぁ、あながち間違ってはいないけど、と思いながらはにかむような笑顔を心がけた。
後ろにいる皐月さんは無表情ながらも、目が私を小馬鹿にしているように思えた。笑顔を直せと目で指示を出している。


『…マッキーにまっつん』

重要人物の挨拶が終わったのか再び解放された私は壁に張り付いて気配を薄くしようと努めた。

いじられた髪の毛に正装の彼らは雰囲気がいつもとは違う。
まっつんなんかは普通の大人のようだ。
年齢詐欺しているんじゃないか?

『なんでここに?』

花巻「まぁ、そういう家だからかな。」

松川「同じく。」


白ワイン色の何かが入ったグラスを持つ2人はなかなか様になっていた。

やっぱり年齢詐欺だ。


『そっか…徹はそのこと?』

松川「なんとなくは。
深くまでは知らないと思う。」

花巻「あ、これ飲む?
ワインに混じってただのジュースも置いてあるよ」


近くのテーブルからワイングラスを手に取り、喋ってばかりで喉が渇いた私はクイっと仰いだ。

喉にアルコール特有の刺激が走り、くらりと体が熱くなる。


『けほっ…
ワインだけど』

松川「…そういうこともある。」


自分では正気を保っているつもりでも、少し舌が回りづらかったり、全てがどこか非現実めいているような気がした。

これが酔っ払っているということか…と17歳ながら私は理解してしまった。


皐月「A様…顔赤いですよ。」

何気に初めて名前を呼ばれた気がする…

そういえばこのホールを照らしているのは巨大シャンデリアなのか…ときらびやかなそれを見上げる。

どうして酔っ払うとこう、関係のないことばかり気になるのか…
 
 

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あやにゃん(プロフ) - 紅葉さん» 一章と二章、どちらにもコメントくださって嬉しいです!(皐月さんは私の好みモロ出しにしてみました笑) そうですね、今作品のテーマは世界観や視点が変えられること、そして変えざるを得ないことでして…(でもやっぱり表現が少し大袈裟なので文章力が欲しいものです笑) (2020年6月2日 16時) (レス) id: 41b9de9ad7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - が、頑張れ篠原ちゃん……(その一言に尽きる)。皐月さんが好きです笑!世界観がどんどん広がっていくのがわかって楽しいです。 (2020年6月2日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あやにゃん | 作成日時:2018年8月19日 8時

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