開幕 ページ13
パーティーが開かれる。
篠原の家にはどうやらパーティーホールがあるらしい。
専用の入り口の前に待機していると皐月さんが色々と説明してくれる。
皐月「私は後ろについていますので、挨拶の時は名前をお教えします。
昨日さらっと見たパーティー招待客名簿は覚えてますか？」
少々分厚い茶色い皮のあれか…と思い出しつつ頷いた。
重い空気とビスチェのせいで声が出たくないようだ。
皐月「基本的には今回が初めてのお披露目なので名前と顔を覚えている必要はありません。
もちろん、次からはそういうわけにもいかないでしょうけど…
っと、そろそろ行きますよ。」
彼の耳にある透明チューブのイヤホンから入るようにとの指示が聞こえてきたのか、私の背中にそっと手を添えて扉の方へ押す。
静かな拍手が聞こえてくる。
周りに聞こえてしまうのではと思うほど暴れ狂う心音にヒヤヒヤしながらマイクを受け取る。
父「私の娘のAです。
さぁ自己紹介を。」
いつもとは違うお父さんの雰囲気に圧倒されつつも、さっきまで読んでいたテキストを思い出しながら招待客にスピーチする。
終わらないと思ったひと時が終わる。
話終えると手の力が抜けて危うくマイクを落としそうになってしまった。
表情筋は緊張のあまり浮かべていた歪な笑顔を治すことはできず、皐月さんに注意される。
皐月「落ち着いて。
深呼吸。」
短い指示を、お母さんが話しているすきに実行する。
父「では娘、Aに乾杯！」
皐月さんに先ほど手渡されていたシャンメリーのようなものを慌てて少し掲げる。
私を中心に視線とシャンパングラスがこちらを向き、なんだか頭がぐわんとする。
乾杯の後は客は喋り始めた。
私に話しかけるのはどうやら地位の高い人からと決まっているらしい。
それは篠原の家がどれほどの権力を持っているかを表しているのだが、私はそれについて考えたくはあまりない。
とりあえずスピーチは終わったことで気が抜け、喉が乾く。
手にあるシャンパングラスをクイッと一気に飲み干すと、甘くて飲みやすい。
が、アルコールが入っているようだ。
皐月「…ご忠告はもっと早くにすべきでしたね。」
遅かったかと笑みを浮かべる執事、皐月さんに少しの怒りを覚えつつも、シャンパングラスいっぱいくらいで酔わない私はまぁいいかと、テーブルのマカロンを一つ摘んだ。
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あやにゃん(プロフ) - 紅葉さん» 一章と二章、どちらにもコメントくださって嬉しいです！(皐月さんは私の好みモロ出しにしてみました笑) そうですね、今作品のテーマは世界観や視点が変えられること、そして変えざるを得ないことでして…(でもやっぱり表現が少し大袈裟なので文章力が欲しいものです笑) (2020年6月2日 16時) (
レス) id: 41b9de9ad7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - が、頑張れ篠原ちゃん……(その一言に尽きる)。皐月さんが好きです笑！世界観がどんどん広がっていくのがわかって楽しいです。 (2020年6月2日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2018年8月19日 8時
