日曜日の朝 ページ12
朝は確かにゆっくりめだった。
ただそれは皐月さんが頑張って寝る時間を取ってくれていただけのようで、スケジュールはいっぱいである。
燕尾服を着た男性や、いわゆるヴィクトリア朝のメイド服を着た女性が屋敷の中をめまぐるしいほどに動き回る。
私は外でガヤガヤしているのを聞きながら、今日のスピーチのテキストを読みながらコルセットを閉められていた。
『現代でコルセットなんて…』
苦しさに負けて心の声が漏れる。
もしかしてコルセットは心の中の物も絞り出すのだろうか？
女中「A様はスラリとしてますが、やはり運動されていたからか筋肉がついてらっしゃいますので、くびれを出さないと…
あ、後こちらはビスチェです。
コルセットは胸下の物を指す言葉となります。」
褒められたのちに、少々失礼なことを言われた気がする。
運動とは言っても、ネット張り、ボールだしにドリンク作り。
…まぁ、確かに帰宅部の人より筋肉はあるだろうけれど。
皐月「…これからは日常的につけて行くことになりそうですね。」
パニエを履いたところで、パーテーションの向こう側から皐月さんが入って来る。
ギョッとしている私をよそにビスチェの、私の体を締め上げる紐をぐいっと引っ張った。
『っ苦し…皐月さ…ん』
羞恥心を忘れ、私の口からは潰れたカエルのような音が出る。
自分で言っておいてなんだが、この例は気持ち悪い。
皐月「もう後数センチほど細くなるのが当分の目標ですね。」
と、少し意地悪そうに微笑んだ彼。
それは私が見た皐月さんの初めての人間らしい表情だった。
ーーーーーー
及川「A！
パーティーの前に顔を見れてよかった。
…気分は大丈夫？」
髪の毛はオールバック。
紺のスーツにシャツは白、そして首元にボウタイ。
『緊張はするけど、不思議とそこまで…
きっと、現実味を帯びてないからだと思う。
徹は？』
本邸へ赴いた時のような、徹の正装はやはりかっこよくて。
緊張がどこかへと吹っ飛びそうだ。
いや、吹っ飛ばないけど。
及川「大丈夫。
少し慣れちゃったのもあるかも。」
苦笑いをする彼に私は体を寄りかからせる。
化粧がついてはいけないと、耳を体に当てるような体制。
２０cmほどの身長差だから心臓付近に耳がくるわけでもないのに、私とは違うテンポの心音が聞こえてくる。
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あやにゃん(プロフ) - 紅葉さん» 一章と二章、どちらにもコメントくださって嬉しいです！(皐月さんは私の好みモロ出しにしてみました笑) そうですね、今作品のテーマは世界観や視点が変えられること、そして変えざるを得ないことでして…(でもやっぱり表現が少し大袈裟なので文章力が欲しいものです笑) (2020年6月2日 16時) (
レス) id: 41b9de9ad7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - が、頑張れ篠原ちゃん……(その一言に尽きる)。皐月さんが好きです笑！世界観がどんどん広がっていくのがわかって楽しいです。 (2020年6月2日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2018年8月19日 8時
